【第五人格】納棺師くんと占い師くん(続) (ページ27)

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バレンタイン・デーページ27

今日はお世話になっている人に何かをプレゼントする日。僕はイライさんに何かを贈ろう。

そして、プレゼントと一緒にこの想いを伝えよう。…と、思っている。

プレゼントのついでに、なんて失礼かもしれないが、何か口実が欲しい。

彼を呼び出して、告白だけする勇気が、僕には無いのだ。

でも何を贈ればいいのか分からないからたまたま庭で会った美智子さんに聞いてみた。

美智子さんの国では "好きな人" に "チョコレートを贈る" らしい。

…これは一石二鳥なのでは。

普通のチョコレートだったら面白くないので手作りチョコレートにしよう、という事で美智子さんと一緒に作る事にした。

｢よう来たなぁ｣

｢はい、今日はよろしくお願いします｣

｢そんなかしこまらんでええよ｣

美智子さんが奥からチョコレートを持ってきた。普通のサイズの板チョコだ…。

ハンターサイズだったらどうしよう、という考えは杞憂に終わった。

美智子さんの説明を聞き、慣れない手先を必死に動かす。少し不安になってきた。

｢大丈夫、ゆっくりでええからな？｣

美智子さんは優しく微笑む。彼女の笑顔に救われながら、再び作業に取り組んだ。

好きな人の為に何かするのは緊張する。
でも、少しばかりわくわくする。

…貴方は喜んでくれるだろうか。

なんとか形になったチョコレートを冷蔵庫で冷やし、二時間後。

｢…うん、ちゃんと固まってる、成功や！｣

｢はぁ…よかった…｣

おめでとう！と四方八方から聞こえた。
どうやら他のハンター達は固唾を飲んで見守っていたらしい。…全く気付かなかった。

｢後は包装やなぁ｣

｢あたしが教えてあげるわ！｣

ヴィオレッタさんが何色ものリボンを抱えて得意そうにこちらを見ている。

｢助かります｣

｢ポンポンボウなんてどうかしら！お花みたいで可愛いのよ！｣

ポンポンボウ…？聞いた事がないな、見たら分かりそうだけど。

｢駄目よ、初心者には難しいわ｣

｢そうよね、ごめんなさい｣

｢いえ…｣

｢はよせな溶けてまうやないの｣

とりあえず、箱には入れ終えたが、ラッピングか…どうしよう。

｢どのリボンがいい？｣

ヴィオレッタさんが持つリボンを見る。

可愛いレースやシースルーどれも綺麗だが、ひとつのリボンが目に入る。それはシンプルながら上品なツヤのある天色のリボン。

まるで澄んだ空のような鮮やかな青。
…いつか見た彼の瞳と同じ色。