大好きな人。 ページ8
今日も変わらず行われるゲーム。
いい加減嫌になる。あと何回殴られ、飛ばされないといけないのだろうか。
あぁ嫌だ。
人の死をこんなに軽く見られては困る。
初めてここに来た時は、鏡を見て驚いた。
いくつもの縫い目に、ボタンで出来た目、毛糸の髪、所々飛び出した綿。
行われたゲームでは殴られても痛みはあるのに、何故か血は出なかった。
代わりに綿が飛び出ただけだった。
そして、棺にサバイバーの顔を描けばチェアに座らされても棺から出てくる。
とても不思議だった。現実世界での死者の蘇生は出来ないのに…。
まぁ、今となっては慣れてしまったのだが。
慣れた、とはいえ僕の心には過度のストレスがかかっているそうで、毎晩悪夢にうなされる。
それはそうか、たとえゲームだとしても、死を疑似体験しているのだから。
生死超越という外在特質を持つ僕ですらこうなのだから他の人はもっとだろう、まぁ他人の事情など僕には関係ないが。
こんな狂った日常の中で、唯一の希望はイライさんだ。
彼は僕の心情を察し、さりげなく手を差し伸べてくれる。
僕を気遣う優しい言葉に落ち着いた声。
彼がいなければ今頃僕はおかしくなっていたに違いない。
「イソップくん」
いつも通り、落ち着いた低い声が僕の名前を優しく呼ぶ。
「イライさん」
「考え事だね?」
ほら、もう僕の心を読んだ。
「私で良ければ話を聞こうか?」
「…ありがとうございます」
僕は今まで考えていたことをゆっくりと話す。イライさんは僕を急かすことなく黙って相槌を打っている。
イライさんと話すようになってから、人に話を聞いてもらうと楽になるんだということを学んだ。なにより
「そうか、まだ怖いんだね」
僕を理解してくれている。だからこそ安心して弱音も吐けるんだ。
他の人だったら否定するだろうが、イライさんなら誤魔化した所ですぐにバレてしまうので素直に認める。
そうか…やっぱりまだ怖いのか。
「おいで、紅茶を入れよう」
僕は黙ってイライさんの後ろを歩く。
人が住むには充分すぎるくらいに大きな屋敷と、この沈黙はだんだんと僕を不安にする。
「…イソップくん、手を繋ごうか」
「え…?」
「大丈夫、誰も見ていないよ」
見渡せば辺りに人の気配は無い、おそらく自室で何か用事をしているのだろう。
イライさんの手が僕の手を包む。
暖かくて大きな手は、ここに居るのだとしっかり感じさせてくれる。
不思議だ。見た目は人形なのに体温があるなんて。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
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- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
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あずきいろ
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8
ラッキーアルファベット
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踊り狂う雑魚(プロフ) - あ、そうなんですね!良かった〜 (2020年4月29日 20時) (レス) id: 5e1aeed0ee (このIDを非表示/違反報告)
ぬこまき(プロフ) - 踊り狂う雑魚さん» 元気ですよ!最近はあつ森しかやってないから第五全然できなくて笑 (2020年4月29日 0時) (レス) id: a8d43ca4fd (このIDを非表示/違反報告)
踊り狂う雑魚(プロフ) - ぬこまきさん、お久しぶりです。最近第五人格してないようなので心配になっちゃいました。お元気ですか? (2020年4月25日 9時) (レス) id: 5e1aeed0ee (このIDを非表示/違反報告)
ぬこまき(プロフ) - 踊り狂う雑魚さん» ありがとうございます、よかったです! (2020年2月15日 15時) (レス) id: a8d43ca4fd (このIDを非表示/違反報告)
踊り狂う雑魚(プロフ) - 最高!こういうの好きです (2020年2月15日 9時) (レス) id: 5e1aeed0ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぬこまき。 | 作成日時:2019年6月25日 2時