【第五人格】納棺師くんと占い師くん(続) (ページ19)

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「君は僕と一緒にいなくてもいいんだね」

「ちょっと待ってください、何ですかそれ」

「…君の顔を毎日見ないと不安なんだ」

あぁ…不安にさせるくらいなら、僕の方から会いに行けばよかった。

知らず知らずの内に、何よりも愛おしいこの人を不安にさせていたなんて。

彼をぎゅっと抱きしめる。

「イソップくん？」

「不安にさせて、ごめんなさい」

彼は僕の腕をそっと退かすと、今度は彼の方から抱きついてきた。

「…寂しかったんだ」

「イライさん…」

いつもは皆を守る広い肩、でも二人きりになると見せる頼りない小さな背中。

…今度は僕が守る番。

「僕はいつものイライさんが好きです。」

「…それはごめんね。」

「でも今のイライさんは可愛い。どうしようもなく愛おしいです。」

「…！」

「ずっとこの腕に閉じ込めておきたい」

それを聞いた彼はふにゃりと笑みを浮かべ

「それは困ってしまうな…」

と、満更でもなさそうな反応だ。

「イライさん」

「…ん？」

「不安なのは貴方だけじゃないんですよ」

不安なのは僕も同じ、いやきっとそれ以上に不安だ。

イライさんは婚約者が居るにも関わらず、僕なんかを選んでくれた。

『僕なんか』じゃない『僕だから』選んでくれた。

でもまだ心配で、本当は24時間ずっと貴方を見ていたい。

誰と話すのか、誰と親しいのか、他の人にはどんな表情をしているのか、全て。

僕以外に僕の知らない表情を見せていたら…

「イソップくん…どうしたんだい？」

イライさん、貴方が他の誰かと話すだけで辛くて、もしかすると僕から離れてしまうのではないか、という恐怖に毎日怯えているんです。

「僕はあなたの全てを知りたい」

「…うん」

「僕以外に可愛い表情しないでください」

「してないよ…」

「ずっと僕を好きでいてください」

「当たり前じゃないか」

「あなたが本当に大好きです」

「僕もだよ」

あぁ、また…結局は貴方に守られてしまうんだ。

「…今日は一緒に寝てください」

「ふふ…分かったよ」

それから僕達は愛を確かめるように甘い言葉を囁きあった。