群青、時々君の色【忍たま乱太郎】 (ページ31)

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＊利吉side

突然の思いつきだったが、今日一日が無事終わってよかった。

いきなり彼女を連れ出したのは、実は見合いを円滑に進めるために、タイミングを作って彼女と話をする為だった。

此処までは順調なのだ。

しかし、どう彼女と折り合いをつけようか。

今日だけで、随分A君のことが分かったような気分に陥る。

一緒にいて心地好い。

ならば、私のすべき行動は決まっているのかもしれない。

「＿＿…なあ、A君」
「はい？」

学園が近付いてきて、やっと切り出す。

「さっき、どうして私が君を連れ出したのかと、知りたがっていたね」
「はい」
「それは、私が、」

君の婚約者だから。

その一言が言えない。

言いたいのに、口が動かない。

微妙な空気が出来てしまって、慌てて言い直す。

「あ、いや、君に縁談が来るはずなんだが…知らないよね」
「、ああ、知ってますよ」
「は？」
「え？」

……お？

「し、知ってるって、」
「丁度昨日、清八さんから手紙を受けとりまして。近々見合いをする、と実家から言われたのです。お相手、名前も知らない人なんです」

それは私だね…

「まあ、断ったんですけど」
「はあっ！？」

こ、断った！？

「っと言うことは…」

今日一日が、全て無駄…？

「うそだあああああああ！」
「りっ利吉さん！？」

＊

家に帰ると、母上から、見合いが無くなったと知らされた。

ホッとした半面、ずきっとした痛みが止まらない。

今日は決して無駄ではなかった、ということか…

きっと、彼女に＿＿＿

　

「＿＿恋をした」

＊