83話 ページ33
「…」
腕が見られないように、ゆっくり中に入る。少し冷めたお湯だがそれでもいい香りと湯気が私を撫でて…あぁ、暖かいわ。
os「こんな、漫画みたいな展開拝めて嬉しいで」
「そうですか。」
ある意味漫画だよな、と頷く。こんな逃げ場のない空間なんて漫画でしか拝みたくなかった。彼と視線が会わないように外を見ていると…お湯が波を立てて動き出した。え
os「A、傷見せて」
「なぜ?」
os「どれくらいか知りたい」
「…なぜ、」
os「Aを知りたいから」
「…なぜ、知りたいんですか」
os「…ほんま、鈍感よな」
額に指一本分の痛みが走る。思わず目を瞑ると…開ける頃には彼に思いっきり見られている。離そうにもやはり強い。今、叫べばいいかなとも考えるが…ダメだコネシマさんに見られるよな
os「酷いな、…なんでしてるん」
「…」
os「命令。」
「…ただの発散ですよ。発散」
「ここの人だってタバコやお酒を嗜むでしょう?それと同じです」
os「…なんで、しだしたん。」
「いつから始めたかなんて覚えてませんから」
離して、と言っても彼は顔を上げてくれない。…なぜ?
名前を呼ぶと、やっと顔を上げてくれた。…まるで傷つけられた人のような痛みで悶えている人のようなそんな悲しそうな顔。なぜそれをするのかが分からない。考えている時彼の片手が私の頬を撫でる。なぜ、なぜ?
os「…もうしたらあかんで」
「なぜ」
os「綺麗な腕の方が可愛いやろ」
「仕事に影響は出ませんから」
os「仕事が全てじゃ「全てです」
os「…」
Aの顔色が変わった。やはり、仕事という言葉が彼女にとってトリガーなのだろう。ちゃんと黙れば彼女は…珍しく怒りを顕にしながら声帯を震わせる。
「仕事が全てです。それはどこに行っても変わらない」
「仕事が全てじゃないって言えるのは限られた人だけ、私じゃない」
「…上がります。」
os「A、その理論やったらほとんどの人間は社畜のはずやねんな?」
os「なら、なんで大先生含め俺らはこんなのんびりできるん?」
os「…わかっとるやろ。その考え方は間違ってることとか」
「…オスマンさん」
「私とあなたは、あくまで上司と部下です。お友達じゃない」
きっぱりと言い切るAの目は酷く冷たかった。…後ろからだとはっきり分かる肋骨が痛々しい。
os「…あー、しくったわ」
こんなはずじゃなかったんやけどな
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眼鏡 - 大好きです!(突然の告白)とても面白いです。更新、頑張ってください!応援してます。 (10月17日 9時) (レス) @page43 id: 7037305142 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ - 今日も更新ありがとうございます!夢主の心の変化が楽しみです。更新無理のない程度に頑張ってください! (10月16日 19時) (レス) @page43 id: e69af3f6e5 (このIDを非表示/違反報告)
でんじゃらす(プロフ) - コメント失礼します!いつも「聖女ちゃんかわいい報われて欲しいな〜」と楽しく読ませて頂いてます!更新頑張ってください! (10月16日 18時) (レス) id: 815ffd723f (このIDを非表示/違反報告)
あちき(プロフ) - shiroさん» ありがとうございます笑 (10月16日 8時) (レス) @page35 id: c587418d2f (このIDを非表示/違反報告)
shiro(プロフ) - キャラが確立されてて面白いです!最近の楽しみです笑 (10月16日 0時) (レス) @page35 id: 29afbe8bb4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あちき | 作者ホームページ:http://33550619
作成日時:2023年10月10日 6時