検索窓
今日:13 hit、昨日:7 hit、合計:8,282 hit

9話 ページ9

【朝】

「……ん、」

雀が起きる前には、私はため息を吐いて服を着替える。
太陽が見えない朝に外に出ては、
文字列ばかりの古紙の束を鞄につめこんで、
チャリに足を通す。

朝はどの季節でも暖かくはない。
目的地までたどり着けば、声もかけずただ
それを郵便受けにプレゼント

それが朝の日課。月収はそこまでない

そんな中、たまにすれ違う人がいる。
ランニングをしている会社員さん。…私とは違って
優しい瞳だし、何より充実してそう。

今日はたまたま自販機の前で彼と会った。
ツルツルのランニングウェアをはりつけた
彼は、あのほほえみをみせつけて
走っていた足を止める。

ht「おはよう。今日も、早いね」
「おはようございます。お仕事なので」

ht「相変わらず、大変そう。バイトいくつしてるの?」
「数えてませんでした…、6つくらいですかね?」
ht「えっ、社畜じゃん」
「そんな事ないですよ〜」
ht「…」

にんまりと笑っている彼女の背景にぞっとした。
また痩せた気がする。もしかしてそんなに生活に困っているのだろうか。…優しい彼女のことだ。
病気の家族を助けるため、とか
…考えたくは無いがどこかに貢ぐため…なのかもしれない。
彼女は先日まで子供だったんだ。いきなり
そんな苦を強いられるなんて…ほんとはダメだろ

ht「程々にしてね」

結局これしか言えないんだな、…と思っている矢先
隣の蛍光ライトに気づいた。
赤い色のボックスが俺にそれを見せつける。

首を傾げている彼女に急いでカードを取りだしては
左上の水を買って、

ht「あげる。お仕事頑張ってね。じゃ」

「…え、っ、?」

反応がワンテンポ遅れてしまった。いらない、と
買えそうとしたが…本人は遠の向こう。
…自転車で返すのも脳裏によぎったが、まだ半分程
残っている。…得策ではない。

今度会った時にお金を買えそう、と心の内に秘めてはまたプレゼント配りを始める。

……どういう、反応したらいいかも忘れちゃった。

続く  (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう

←8話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (39 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
137人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あちき(プロフ) - 天乃 琉亜さん» 初コメありがとうございます!それはどうでしょうね…😏 (8月27日 0時) (レス) id: c587418d2f (このIDを非表示/違反報告)
天乃 琉亜 - 初コメ失礼します!grさん初恋の人が夢主(?)ちゃんであって欲しい‼! (8月26日 19時) (レス) @page8 id: ab45c2aafd (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あちき | 作者ホームページ:http://33550619  
作成日時:2023年8月23日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。