【あんスタ】プロデューサーは転入生！Ⅲ (ページ33)

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転入生のテスト・5 ページ33

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　昔、小学校の頃。

　歌のテストで、皆の前に出たらアガっちゃって、歌えなくて。

　『お母さん(あのひと)の娘なのに』って皆に笑われて、悔しくて、泣いて帰った時に、お母さんが教えてくれたこと。

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『ここは舞台ではない、教室でもない……』

『ここは、広い、広い、水の中。

　あなたはそこに紛れ込んだ、1粒の雫』

『観衆も、聴衆も、何処にも居ない。

　あるのは、ただの水。

　それが世界の全て。

　――そしてあなたは、その内の1つ』

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　ゆらゆら。

　ゆらゆら。

　揺蕩う意識の中、懐かしい声が囁く。

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『あなたは全て、全てがあなた』

『遠慮しなくていい。怖がらなくていい。

　今、世界の全てはあなたなのだから、自分に怯える必要は無いの。

　溶け込んでしまえば、ひとりじゃないし、誰にも分からなくなる』

『――ね？
　そう思えば、何も怖くないでしょう？』

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「準備は良いですか？」

　先生の声が聞こえる。

　懐かしいお母さんの微笑みを瞼の裏に焼き付けて、私はゆっくりと目を開いた。

「――はい。大丈夫です」

　――――もう、視線は感じない。

「よしっ、こっちもOK！いつでもどうぞ～！」
「では、始めます。――スタート」

　椚先生の合図で、音楽が流れ出す。

「～♪～♪～♪」

　喉を開いて、私は、詞を旋律に乗せた。