転入生と後片付け・4 ページ46
.
「これでも僕は体力がある方だと自負しているよ、人並みにはね。これまで年中、つまらない書類や教師と睨めっこばかりしていた君とは違うのだよ。訂正したまえ、今すぐに」
「あ〜あ〜、うっざ〜。ねぇクロくん、この脆弱人形マニアどうにかして〜？」
「A……お前なぁ、その面倒臭くなるとすぐ他人に投げるクセ、ホントどうにかしろよ……？」
と溜め息を吐きつつも、斎宮くんの襟首を軽く掴んで、ひょいと影片くんの方へ投げてくれた鬼龍はホント良い子だと思う。有り難う。お姉ちゃんはそんな君が大好きです。
「うおっ！？ い、いきなり何をするのかね鬼龍！ もっと丁重に扱いたまえ！ 君や不陶と違って、僕は繊細なのだからね！？」
「どうしようクロくん、こないだ布地のロール抱えて歩いてたゴリラが何か言ってるよ。コイツ現実見えてなさすぎじゃない？」
「落ち着けA、ゴリラはゴリラでも、いっちゃんはエレガント裁縫ゴリラだ。そこらへん間違えるなよ。威嚇してくるぞ、『エレガントじゃない』とかウホウホ言って」
「き、貴様ら……！！」
歯軋りしながら唸る斎宮くんの後ろ、スマホに映った天祥院と、それを持った日々樹が、肩を震わせながら必死に笑いを堪えてるのが見えたが、これは言わない方が良いかな……。
「とまぁ冗談はさておき、影片くん。宗くんのことよろしくね。お疲れ様」
「え？ ああ、そりゃ勿論！ 俺のお師さんやもん、頼まれんでも大事にしますわ。ほな、また学校で〜♪」
朗らかに手を振りつつ、唸ってる斎宮くんを半ば強引に引っ張っていく影片くんに手を振り返して見送る。
どうでもいいけど、影片くん、斎宮くんの事お師さんお師さん〜って慕ってる割には、たまに扱いが凄い雑だよね……。今も若干斎宮くん引きずられてるし……。
プロデュース科に来て、初めて会ったばかりの頃は、まだ普通だった気がするんだけどな。果たして彼の心境に何の変化が。
まさか、私やクロくんが斎宮くんを雑に扱ってるのを見て『あ、こんな感じでもええんや』って思ったとか、そんな理由じゃないよね？ 違うよね？？ 違うって信じてるよ影片くん？？？
……まぁともあれ、片付けせねば。
「――って伏見くん、どうしたのその顔」
「え？ あ、いえ……」
と、箒を握ったまま何とも言えない顔で立ち尽くしている伏見くんに、日々樹が軽やかな足取りで近付いて、馴れ馴れしくその肩を叩いた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 65人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
姫結(プロフ) - あーりすさん» 有り難う御座います。仕事が多忙なのもあり、月1回更新出来ればいいかな……ぐらいの気持ちでダラダラ書いてますので、それでも大丈夫でしたら、これからも気長にお付き合い下さい。よろしくお願いします。 (2018年5月16日 18時) (
レス) id: 11e7a2152f (このIDを非表示/違反報告)
あーりす(プロフ) - え、なんで今まで赤星になってなかったのってくらい面白いです！！この小説見つけられてよかった！！更新FIGHTです、頑張ってください！ (2018年5月16日 18時) (レス) id: ab6d254405 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：姫結 | 作成日時：2018年1月17日 17時
