異世界の日常の中の【荒木荘】 (ページ14)

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「ここが、今からあなた達の住居」

部屋に全員を入れ、紹介していく

「このドアはキッチンと繋がってて、そこのドアはトイレ、そこは風呂場

わからないことがあったら言って」

とりあえず、必要な事を伝えて、部屋に戻ろうとする

その瞬間、襟を掴まれて強い力で引っ張られた

「うげぇ！」

ふらついて、後ろに倒れる所を誰かに支えられる

「うぉ、す、すまん

そんなに力を入れたつもりは……」

引っ張ったのはカミュ

上を向くと、綺麗に整った顔が目の前にあった

「なに、どしたの」

「いや、聞きたいことがあって

えーっと……とりあえず俺達の部屋に来てくれ」

問答無用でカミュが私の肩に手を回し、部屋へ移動させる

部屋に入って、カミュと二人きりの空間で、椅子に座った

向かいの椅子にカミュが座って、真剣な顔で淡々と言った

「疑問に思ったんだよ

この世界では、お前達は全盛期の姿なんだろ？

斬首刑になったのは39歳

じゃあ、19歳のお前はなんで首が取れるんだ？」

同じ質問を、以前Sansにされたことがある

それは、この世界の事を受け入れられてない証拠だ

「……死因とか、吉良から聞いた？」

「あぁ」

「なら話が早い

この世界に来る前、神様から告げられたの

「天国行き」ってね

「私は立派な罪人

あの世界にいく条件は充分整ってるはず」

って言ったのに対して、

「罪人かどうかを決めるのは民衆ではない

真実が決める」ってさ

さすがに納得行かなくてねぇ

だって、ここに来るために、わざと(・・・)殺人鬼の罠にハマって、わざと(・・・)処刑されたのよ？

そこまでしたのに、荒木荘に行けないなんて……ちょっとね……

そこで、神様は条件付きでここに送ってくれた」

「……その条件が……斬首の傷……」

「そゆこと

理解出来たかしら？」

Do you understand？と、指でカミュを指す

まだ煮え切らない表情をしているが、ゆっくりと頷いた

それを確認して、椅子から立ち上がってテーブル沿いにドアへ向かう

「……まぁ、受け入れられない気持ちもわかるよ

信じるのは君次第だし、この話を信じてくれなくてもいい」

そして、カミュの頭を撫でてドアへ歩いた

「ゆっくりでいいよ

誰も、この世界に最初から慣れてる人なんていない」

この話をわざわざ皆と離れてしてくれたのも、私に気を使ってくれたから

「案外優しいとこあるんだね」

微笑んで、欠伸をしながら部屋から出た