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あとは……と、皆がポキくんの方を向く。
彼は私たちとは離れた位置に座って俯いていた。
が、皆の視線に気が付いたようでそっと頭を擡げると小さな声で言う。
「ポッキー……、3年」
言うと直ぐに皆の方から顔を逸らす。
やはり彼は誰とも目を合わせない。
「これで全員か」
「ぜんぶで12人……」
エイジくんに陸くんが続く。
陸くんは今の自己紹介をノートにメモしていた。
そして、テレビ画面で説明された“構成”をもう一度繰り返してくれた。
「凄い。 真面目だねー」
そらくんがのんびりとした口調で言う。
「やらないと死ぬから」
と、はじめくんが彼を睨む。
「は？」と低い声を発したそらくんを制するようにエイジくんが口を開く。
「一応、やる前提で整理しよ」
「でもさぁ……本当に貰えるの？」
と、ぶんけいくん。
はじめくんが「え？」と聞き返す。
「1億円」
その問いにはじめくんは頷く。
「うん……、たぶん。
勝ったもしても一旦はこれが締まって意識を失うけど、ちゃんと解放されるって言ってた。
────お金と一緒に」
「……なるほど、口止め料ってことね」
と、ぶんけいくん。
2人のやりとりに心音が速まる。
やる気なの……？
1億円のためなら、人も殺せるの？
怖くなって、私は「あの」と声を上げた。
「本当にやるの……？」
声が震える。とてつもなく恐ろしい。
誰も声を上げないことも、黒く静かな監視も。
恐怖と怒りが入り交じる。
皆は受け入れられるの？
私は嫌だ。犯人たちに自分の生死を握られているなんて。
こんなゲームを大真面目にやるなんて、馬鹿げているじゃないか。
「このゲーム！ 皆で殺し合うとか────」
バンッ、とテーブルを叩く音が響き、私の声は遮られた。
叩いたのははじめくん。
「やらなきゃ死ぬって。 何回言わせるの」
その声は冷淡に澄んでいて、これ以上の反論を認めないという圧を感じる。
「……っ」
私は唇を噛み締めて言葉を飲み込んだ。
やっぱり納得なんて出来ない。
でも、今誰かと敵対する必要なんてないし、何か下手なことを言ってカメラの向こうの奴らの逆鱗に触れたら、この首輪に絞め殺されるかもしれない……。
反抗するにしても、命あってこそだ。
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作者名：小桜ふわ
| 作成日時：2019年8月15日 23時
