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【勝利した側には1億円をお支払いします。
それでは皆さん、頑張って生き抜いてください。】



「……」

これは、理不尽なデスゲーム。
私たちはそれに強制参加させられている。
拒めば、待っているのは死のみ。

受け入れる他に選択肢はない。
嘆く暇さえ与えてくれない。

死にたくなければ、他人を蹴落とす覚悟が必要なんだ。
生半可な気持ちじゃ生き残れない。

頭では分かっている。
でも、納得出来ない。こんなのおかしい。

私たちには、こんなゲームを強いられる筋合いなんてない。

こんなものに、私は、屈したくない。



*



私たちは建物の中を探索した後、投票場と呼ばれる最初に目覚めた部屋を出た廊下に集まっていた。

「それ」

と、長身の彼が天井を指す。
そこには黒いコウモリのような監視カメラがあった。

「それも」

別のところを指す。そこにも、同じようなカメラ。
この建物は見渡す限り監視カメラだらけだ。

赤いランプが点滅しているので、録画中なのだろう。

「あいつらは見てるんだよ。 ぜんぶ見てる」

「“あいつら”って誰!?」

1人の男子が問うた。

「大人たち」

そう答えた彼は最初とは打って変わって落ち着いていた。

落ち着いている、というよりはもう喚くのに疲れて諦めているように見える。

「大人たち?」

部屋から持ってきたのであろうノートを抱えた別の男子が聞き返した。

「お金を賭けて遊んでる大人たち。
……そういうのにハマってる友だちがいて。
招待制の裏サイト?みたいなやつ」

彼の声はどんどん覇気を失っていく。

「ちゃんと説明されたわけでもないし、たまたま覗いただけだったけど……たぶん、そこで違法なギャンブルをやってる」

招待制の裏サイトとか、違法なギャンブルとか、私には縁遠い言葉過ぎてピンと来ない。

「拉致った高校生たちに殺し合いをさせるゲーム」

と、彼はカメラを見上げた。

もしかするとその“友だち”が、これの向こうにいるかもしれない。

「誰が生き残るのかを、当てる……?」

そう尋ねた私の声は細く消え入りそうだった。
彼は否定も肯定もしなかった。

その沈黙が肯定を意味することを、この場にいる全員が悟った。



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作者名:小桜ふわ | 作成日時:2019年8月15日 23時

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