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「自分が共有者だ、っていうのは先にそらくんが明かしたから。 エイジくんは」
昨夜の出来事を思い出しているのか、彼女は喉から言葉を押し出すようにして喋る。
「言うことを聞かないと、そらくんは私が共有者だっていうのを認めないって。
そうしたら、お前は確実に吊られるって」
「本っ当に屑だね」
あーずーが吐き捨てるようにエイジくんとそらくんを見て言う。
「……ねぇ、ちょっといい?」
ぶんけいくんが軽く手を挙げ、その指先をさぁやちゃんの方へ倒した。
「この子が共有者、っていうのは確定でいい?」
「まぁ……そらが認めてるし」
と、はじめくんが頷く。
「じゃあその彼女を白って、村人側って占った僕も本物ってことでいいよね。 本物の預言者」
例えそうだとしても今言うことじゃないだろう、という雰囲気が場に漂った。
「そうとは限らない。 偶然ってこともある」
カンタくんが律儀に返答した。
「その指摘は正しい。
……で、俺は今改めて宣言させて貰う」
エイジくんがもったいをつけてこの場をぐるりと見回した。
「本物の預言者は、俺」
さっき以上に動揺した。
このゲームはどこまでも私の意識を追いかけ、翻弄する。
カンタくんが彼に訊いた。
「今、なんて……?」
「ぶんけいは偽物で、俺が本物の預言者」
「またまた……」
ぶんけいくんは苦笑する。
「俺が黙ってた理由は、丸一日、誰が誰を庇うのか見てた」
「でも、昨日の夜人狼に襲われてたら……」
「そうだよ!
ちゃんと言わないと、用心棒に守って貰えないじゃん!」
陸くんに、興奮が抑えられない様子のカンタくんが続く。
「人狼に襲われたらそのときはそのとき。
昨日の時点では襲撃の対象も多かった」
「────じゃあ」
陸くんが、当然の要求を口にする。
「占いの結果教えて」
「そうだよ。 言えるはずじゃん!」
カンタくんが同調し、全員の注目がエイジくんに集まる。
彼は立ち上がった。
その目はあーずーを捉えていた。
彼はすっと腕を上げ、彼女を指さす。
「人狼だった」
エイジくんは、そう宣告した。
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作者名:小桜ふわ | 作成日時:2019年8月15日 23時