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私たちは食堂に集まった。
人数は10人。欠けたのはトミーくんとマホトくん。
流れる空気は重たい。
ただ1人、ぶんけいくんは相変わらずの様子でパックのジュースを飲みながら菓子パンを頬張っていた。
「……よく食べられるね」
カンタくんが顔を顰める。
「うーん……確かにまずい」
と、ぶんけいくん。
カンタくんはそういう意味で言ったんじゃないと思うけど……と心の中で指摘しておく。
「あ、そうだ。
昨日の夜その子を占ったけど────」
ぶんけいくんがパンを持ったまま、さぁやちゃんを指した。
「白だったよ」
さぁやちゃんが少し意外そうに「私?」と彼に聞き返す。
「白って、村人側ってこと?」
カンタくんがぶんけいくんに確認する。
彼は「うん」と頷いた。
ぶんけいくんが偽物じゃない限りは、さぁやちゃんは人狼じゃない。
「何でその子?」
あーずーがぶんけいくんに訊いた。
「別に……。何となく、知ってるYouTuberに似てたから」
ぶんけいくんはパンを齧りながら答える。
「はあ? そんな理由?」
あーずーが呆れと怒りの入り交じった声で問う。
「……君、経験者って言わなかった?」
と、はじめくんがあーずーと同じような調子で尋ねた。
「そうだけど」
「もっとちゃんと、こいつが怪しいからとか、こいつが人狼だったら手強そうだからとか、そういうさ────」
はじめくんが話す間にも、ぶんけいくんは何事もなかったかのようにパンを咀嚼している。
「そうだ」と、カンタくんが声を上げた。
「霊媒師は昨日の結果見たんだよね?」
「そのはず」
昨日吊られたトミーくんが人狼だったかどうか。
と、陸くんがノートに目を落としながら答える。
「もしトミーが人狼だったなら、今名乗り出て」
はじめくんが皆を見回して言った。
皆、お互いに顔を見合わせる。
さすがにポキくんも周囲の反応を窺っている。
でも、誰も何も言わない。
ということは、つまり。
「違った……? トミーは村人側?」
と、陸くんが小さく呟くように誰にともなく訊いた。
「あくまでその可能性が高いってだけだよね。
先に死んじゃった2人が霊媒師だった可能性もある」
カンタくんが陸くんの言葉をわずかに訂正する。
「あと、霊媒師が単に潜伏してるだけってことも有り得るのか……」
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作者名:小桜ふわ | 作成日時:2019年8月15日 23時