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「でもどうせなら
本物の人狼選んだ方がいいでしょ」
理沙が頬杖をついて言った。
「今の段階で人狼が誰なのか分かるの？」
否定気味な口調のはじめ。 理沙は答えない。
「……頭いいね」
と、そらが言うと
「まあね」とはじめが得意気になる。
「でも、じゃあ誰選ぶんだよ」
マホトが訊いた。
「……」
と、はじめが思案顔になる。
現段階で10人のうち1人死亡。
“反抗派”4人、“参加派”4人と
綺麗に同数に分かれてしまっている。
それとどちらにもついていない人物が1人。
はじめの作戦でこちらが過半数になるには
まずはその人物を引き込む必要があった。
*
「どう？ Aちゃん」
玄関先に座り込んでいた私の
傍らに屈んだ男子が問うてくる。
彼ははじめと名乗り、ここにいるメンバー、
彼とマホトくんとそらくんと理沙さんと私で
同じ人物に投票する、
という作戦を提案してきた。
「今夜は生き残れるんだよ。 ね？」
「……」
答えられずにいると後ろにいたマホトくんが
はじめくんを立ち上がらせた。
「今じゃなくていいだろ」
はじめくんの「何だよ」という
不機嫌そうな声が頭上で聞こえる。
「もういいよ、放っときなよ」
理沙さんの声も降ってきた。
その後ろから数人の足音が近づいてくる。
「どうだった？」
理沙さんが彼らに尋ねた。
「……」
「ほらね」
カンタさんたちが答えないのを見た、
はじめくんが言う。
助けなんて来ないと言いたいのだろう。
それを受けてトミーくんが
はじめくんの胸ぐらを掴み頬を殴った。
「痛った！ 何すんだよ！」
そのまま掴み合いになる彼らを止めに入る、
カンタさんとマホトくん。
二人が収まってから訪れる沈黙。
「何で俺たちなんだろうね……」
それを割ったのは赤髪の……
確か、エイジくん。
この場にいる誰もが
その疑問を抱いているだろう。
そして誰も、その答えを持っていない。
「この中に、
お互いに知ってる人いたりしない？」
カンタさんが全員を見回して問うた。
「俺は……Aさんとは、
Twitterで────交流があった」
交流があった。……そういえば私、
カンタさんのフォロー解除しちゃったんだ。
少し気まずくなって、
彼の顔を見上げていた視線を逸らし俯く。
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作者名：小桜ふわ
| 作成日時：2019年3月19日 9時
