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「いや……、でも────」
と、カンタさんが口を噤んだ。
「おい、こいつ無駄死にだぞ。 このままじゃ」
隣にいた長髪の男子が語気を強める。
「無駄死にって……無駄死にって何!?」
悲しみと怒りが混ざってまた涙があふれる。
長髪の男子が構わず屈むとさぁやの肩を持ち、
足側を赤髪の男子が持ち上げた。
「待って！ やめてください！ 離して！」
どんなに抵抗しても彼らの力には敵わず
さぁやは運ばれていってしまう。
「ごめんなさい……！」
カンタさんが謝罪を口にするけれど
そんな言葉を求めてはいなかった。
彼女を取り返さなきゃ、と
二人に抵抗する私を彼は必死に制してきた。
結局どうにも出来ず、
玄関先で二人によって
彼女は外に投げ出された。
仰向けに転がる彼女。
コンクリートに頭を打ち付けても
起きない所を見て、さらに悲しくなった。
「……っ」
私はその場に立ち尽くし、咽び泣く。
ごめん、さぁや。
そんな硬い所で寝かせてしまって……
守れなくてごめんね。
*
目に入る窓には紙やダンボールが貼ってあった。
『助けてください』
『監 禁されています』
サインペンでそう書かれたそれらが
テープで貼られている。
望みは薄くても、
何もしないよりはマシという考えからか。
*
厨房には“参加派”の4人が残っていた。
はじめがノートを広げ、鉛筆を握っている。
────────
・夜8時〜9時:
人狼が誰なのか推理、一人選出して殺す
・深夜12時〜2時:村人は部屋から出られない
・深夜12時〜2時:人狼は話し合って一人殺す
────────
「皆で同じ人選んだらどう？
……あっちの4人の中の誰かを」
“あっちの”とは言わずもがな
“反抗派”の面々を指す。
「何で？」
そらが尋ねた。
「投票は多数決でしょ？
過半数以上で同じ人を選んだら
少なくとも俺たち、今夜は生き残れる」
はじめが答える。
マホトが少し視線を彷徨わせ、言った。
「でもこの中に人狼いるかもしんねぇじゃん」
「だとしても、今夜12時までは
この4人は全員生き残れるんだよ！」
.
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作者名：小桜ふわ
| 作成日時：2019年3月19日 9時
