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そんなの、受け入れられるはずがない。
気付いたら涙があふれていた。
とめどなくぽたぽたと床に落ちていく。
「……さぁや……」
他の人たちは建物を探索すると言っていたが
私はそれどころじゃなかった。
彼女のそばを離れたくなかった。
*
建物の出入口は自動ドアになっていた。
その扉の前に立つ高校生たち。
透明なガラスの向こうには
見たことも無いような自然が広がっている。
生い茂る木々や草。
ここが山奥であることは一目瞭然だった。
長髪の男子、トミーが一歩前に出る。
自動ドアのセンサーが反応して扉が開いた。
夏の風が穏やかに舞い込んでくる。
当然開かないものだろうと思っていたので
その場にいた全員が拍子抜けした。
外に出られるんじゃないか、
という淡い期待は直ぐに打ち砕かれる。
全員の脳裏に
先ほど首輪に殺された彼女の姿が浮かんだからだ。
ルール違反と看做されれば容赦なく殺される。
否が応でもそれを理解するしかなかった。
「俺ら、誘拐されたんだね……」
カンタが言う。 誰も否定しない。
「何のために────」
ぽつりと理沙が呟いた。
答えの出ない問いだった。
彼らはその場から移動し
『厨房』というプレートが
掲げられた扉を開けた。
冷蔵庫の中には食料が充分入っているし
棚の中には救急箱まであった。
部屋はその他に
『シャワールーム』と書かれた浴場や
それぞれの名前と顔写真が貼られた、
『自室』などがある。
彼らは厨房の
ステンレス製のテーブルを囲んで座った。
「────それでも、
この建物からの脱出方法や
外と連絡をとる方法を考え、
犯人への反抗を試みたい人？」
殺されるかもしれないという前提の上
カンタが改まった口調で皆を見回した。
そして彼自身手を挙げる。
挙手したのは彼とトミー、エイジ、ポッキーだ。
「素直に犯人に従って、
このまま人狼ゲームに参加した方がいいと思う人？」
再びカンタが問う。
マホト、そら、はじめ、理沙が手を挙げた。
「お前らはゲームに参加しないんだ」
はじめが“反抗派”に挙手した人を見て言う。
「なら、カード見せてよ」
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作者名：小桜ふわ
| 作成日時：2019年3月19日 9時
