魔女に花束、女王に刃10

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Youside













眠れなかった。
眠れるわけがなかった。

私は遂に今日、奴と決着をつける。








"そう簡単に死んでなんかやらない。"






あいつを殺すまでは。
だけど、本当に？

今更になって、心のどこかでドクドクと不安が垂れる。

私は魔女の仔、魔女擬き。
所詮はただの人間なんだ。
人よりちょっと魔法が使えるだけ。
死のうと思えば簡単に死ねるくらい人間が脆いことくらいわかってる。

もし、私が女王を殺す前に殺されてしまったら？
ここまでの道程は全て無駄な死ぬ前のお散歩コース。
フィオーラの仇もとることが出来ず、私のエゴで仲間を危険な目に晒して奴の憎たらしい笑みの前で息絶える。

目を瞑って考えれば考えるほど思考は嫌な方向へと進んでいく。
想像もどんどんリアルなものになっていく。
辞めて。せっかくここまで来たんだ。
負けたくない、負けたくない。

だから私はずっとずっと手記を読み続けた。
フィオーラが残した言葉を一言一句零さないように。
教えてくれた魔法を一つたりとも無駄にしないように。















涼「⋯、⋯──！」















刻み付けろ。全てを自分に。
フィオーラの為に⋯。
皆の為に⋯！















涼「──！A！！」


「っ⋯！？」















ばっと振り向くと涼介と大貴がいた。

なんだよ、驚かせるなよな。















「もーびっくりした。何？一応女なんだし入る時くらいノックしろよ？」


涼「⋯したよ。何回も。」


「え？」


大「外から名前も呼んだのに返事が無いから入ったんだよ。そしたら今度は声をかけても返事無かったし。」


「あー⋯ごめんごめん。魔法ちゃんと使えるようにこれ読んでただけ。思った以上に集中しちゃってたんだな。」















あははと軽く笑い飛ばして本を閉じた。
呼びに来たってことはもう飯の時間か、早いな。















「もう皆起きてんの？飯できてるなら行かな」


大「A、」


「何？」


大「寝てないだろ。」

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