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第19話宇宙よりも遠いイケメン中編① ページ20

「…マッシュ…」

「先輩……すみません。遅れました」
「良かった！」
灘花先輩はマッシュ先輩を抱きしめた。マッシュ先輩は凄く目を丸くしていた。

「まーったく、遅いんじゃない？後輩は先輩よりも先に来てないと。…いらない心配をしちゃったじゃないか」
「？論先輩なんか言いましたか？」
「…いや、なにも？」

ほんとに…良かった。

ー
「あっ見えた！」
新幹線で揺られること1週間。元木先輩が感嘆の声を漏らした。
「「おぉーーっ」」

氷塊を掻き分けて見えた先は、北の果て。
北極だった。

「灘花先輩…私たち、ここで」
「あぁ。ここで、練習しよう。本当にゼロから、ミニ四駆ダンスの本場である北極で、僕たちの星を見つけよう」

私は誓った。もう、目を逸らさない。立ち向かっていく。この部活の存在意義を荒立てる声と、あの冷たい視線から。

ー
もうとっくに客がいなくなった新幹線を見渡した。車内は光源が月と雪灯りのみで、暗くて静かだ。現在AM2時30分。気温は1℃。天気は良好。
「防寒着は着たかい？僕に続いて、足元に気を付けて降りて！」
新幹線から降りて、立ったことのない大地に新しい一歩を踏み出す。って

「わぁっ！？」

ツルッ
急に視界が上を向いた。

「っおい！」

「っ……あれ？」
「…はぁ。気を付けろよ」
気がつくと、そこはシーズ君の腕の中だった。
「っごめん！！」
あぁ…開始早々なにやってんだ！

「ははは。Aちゃん。絶好調だね」
「鈍臭っ、これから大丈夫？」
「気にすることないよ！」

「うぅ…ごめんなさい」
申し訳なさと恥ずかしさでクレバスがあったら入りたい気持ちで一杯になる。

「…好調な切り出しなんじゃない？シーズちゃん」
「うるさい…黙って歩け」
奈那痔とシーズ君は相変わらず仲が良さそうだ。

ー
「お、見えてきたねー」
旗を立てながら進むこと、1時間くらいだろうか。
日も昇ってきている。

「あれが僕たちが使う合宿小屋だ。
…ここがスタート地点だ。ここが始まりなんだ」
「分かってるよ……そんなの」

「…ああ！

ミニ四駆ダンス部！合宿、開始だ！！」