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「うん」と「分かった」だけで成された会話は、小笠原部長からの電話だったらしく、
「宴会8時からだから先に温泉でも入って来たらってさ」
そう言いながら携帯をテーブルに置いた先輩は、
「因みに、『由香ちゃんはこっちの部屋にいるから安心して』だってさ。心配してねぇっつーの」
イラつきを抑えずそう言って、フンッと鼻を鳴らした。
先輩がそんな態度だから、何となくそこから動けなくなって、
「どうしたの?」
立ち上がった朋花と中腰のあたしに掛けられた先輩の言葉に、あたし達は黙って首を横に振って座り直した。
女王の心配はしてない。
心配なのは思い人の方。
特に佑亮はかなり危険だと思われる……。
それでも部屋からは出られなくて、結局みんなで温泉に行った。
古臭い旅館の温泉は、広さだけは充分にあって、露店風呂に出て行くと、そこから見える景色が綺麗だった。
「あいつ、旅館選びは上手いのよね」
「あいつって小笠原部長ですか?」
「そうそう。毎回旅館自体はボロくても景色のいい場所選んでる」
「へぇ」
露店風呂に入りながら先輩とそんな話をしていると、露店風呂の引き戸がカラカラと開く。
何気にそっちに視線を向けると、そこには真っ裸の女王が立ってて、
「あ、ここにいたんですね」
女王がそう言いながら露天風呂に足を入れた。
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作者名:ピカ | 作成日時:2016年5月30日 23時