課外授業【緑橙】

#44 ページ46

side丸山




他人の子を親の許可無しに連れ出し、車を走らせてる今の状況は




つまり……誘拐。




俺の家やと出会う可能性があるから




なるべく遠くへ…。




何もかも捨てなあかんかもしれんけど、




大倉以上に守りたいものはなかった。




心臓がめちゃくちゃうるさい。




これで俺は犯罪者になってしまうんやな。




後悔はしてへんけど。




「…忠…義……？」




ポカンとしてる大倉……やなくて忠義。




結構走ったし、ちょうどあったサービスエリアに寄って車を止めた。




シートベルトを外し、横をむいて忠義の肩を抱く。




「今日から、お前は丸山忠義。俺はオトンになる。忠義は俺の息子になんねん。」




「っでも、先生は…」




「もう先生やないよ。」




「…オトン、は…。」




忠義は慣れてなくて難しそうに呼ぶ。




「仕事やって、家やってあるし…家族だって……。」




「あーもう、いらんこと考えんでいいって。一緒に逃げよ？一緒に暮らそ？」




忠義はコクンと頷いた。




「……ありがとう…。 」




俺は思いっきり抱きしめた。




俺が守るんや。




この子のこと、俺が…。




俺が独断で決めたことやから、忠義が望んでたことかはわからへん。




でも、忠義の為になる、って信じてる。

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