課外授業【緑橙】

#41 ページ42

side丸山



施設について、中の様子を伺っていると



少しガラの悪そうな少年が俺たちに気づいて話しかけてきた。



大倉は萎縮というか、拒絶というか



俺の服を握って、後ろに隠れてもうて。




｢ねぇ君、園長さん居る？｣



｢園庭の花壇に居るよ。呼んできてやろうか？｣



｢ありがとう。｣



ええ子やんか。




｢大倉、別に怖い子でもなさそうやで？｣




そう言ってもアカンみたい。




｢連れてきたでー！感謝せぇよお前ら。｣




｢そんな口聞いたらアカン。｣



｢はいはい。｣



少年に手を引かれ、園長さんがやってきた。




｢この人、横山言うねんで。｣




｢亮、呼び捨てはダメ言うたやろ！｣




｢ごめんなさーい。｣




亮って言うんやなあの子。




口は悪いけど、素直そうな子や。




話がしたいというと、快く受け入れてくれて。



｢亮と遊んどく？｣



しゃがんで目線を合わせ、大倉に園長さんが聞くけど、




大倉は目を逸らして俺から離れない。




ふと思った。




このままココに入れたとして、大倉は楽になれるのか。




園長の横山さんはいい人そうやし、この手の道のプロやけど




大倉がそう簡単に馴染める気がしない。




少なくとも、今の大倉には…。




知らない人だらけの場所じゃ、今の脆い大倉にはストレスになってツライと思う。




握られた服の裾。




大倉は、俺を頼ってくれてる。




大倉が頼れる数少ない存在なんや。俺は。




｢お騒がせしました。すみません｣

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