課外授業【緑橙】

#31 ページ32

side丸山



｢ふぅ…。｣



時計を見ると午後９時。




１人きり、職員室で残業してた。




目頭を押さえながらパソコンの電源を切る。



学期末になり、成績のことでここんとこ多忙を極めていて。



しかも俺は家が学校から近いから、仕事を押し付けられがち…。




大倉のこと、忘れたわけではないけど




日々仕事に追われそれどころじゃなくなってた。




担任の生徒は、大倉だけやないんやし。




自分の生活をしてると、




大倉がどんな日々を送ってるのか




環境が違いすぎて考えられなかった。




｢お疲れ様でーす…。｣



荷物を持ち、真っ暗な学校に一言行って校門を出る。




｢お腹すいたなぁ…。｣




作るの面倒くさいから、近くの喫茶店に入った。




｢いらっしゃいませー。お、丸やん。｣



ここの学校に転勤になる前から、地元やしよくここに来てる。




この店、中学の時の先輩の家がやってる店で




今はその先輩、すばるくんも店で働いてる。



この時間はお客も少ないし、まったりした空気感が好きやねんな。




｢いつものお願いします。｣




｢はいはい。妙子ー、丸山スペシャル1つー。｣




すばるくんはカウンターから動かない。




作るのはお母さんやからね(笑)




｢どうぞ。｣




お水を持ってきてくれた流れで、すばるくんは僕の前の席に座った。

#32→←#30

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す