表〃裏〃一〃体

crime#1 ページ7

突然大きな音がした。




ドアが乱暴に開けられ、ピエロの仮面を被った男が入ってくる。




外からドアが閉められたから、ドアの前にも１人見張りがいるみたい。




｢……おはようさん。｣




恐怖で何も言えず、体を寄せ合う俺ら。




だって、奴の手には真っ黒な拳銃が握られていたから。




｢いい子にしててね？ちょっとお金を頂くだけだから。｣




はっ、と大倉と顔を見合わせた。




大倉のお父さんは、200店舗以上の支店を持ってる飲食チェーン店の社長。




しつけがしっかりしてて、大倉は特別お小遣いが多いわけでもないし、お金持ちって言われるのを嫌ってたけど。




｢…ざっと5000万、払えば君たちに危害は加えないよ。｣





｢……そんなん、無理や…。｣




大倉が震える声で言う。




｢あっても会社のお金…、こんなことには使えへんっ…｣




｢うるさい。｣




ゴツ、と鈍い音がして大倉が殴られた。




それから何時間たったのか。




トイレは申し出れば連れて行ってもらえたけど、逃げる隙は全然ない。





空腹で気持ち悪い。




犯人はピエロが主犯やろう。時々居なくなるけど、ずっと拳銃を弄って俺らの前に座っていた。




窓の外は、もう暗い。




喋ると殴られるから、俺も大倉も俯いて黙ってた。




夜もふけると眠気はきたけど、こんな状況で寝れるわけもなく、




うつらうつらしながら、また朝が来た。

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