百五十三話 もうひとりの能力 ページ6
エマの意識が戻らないまま、今日で五日だ。
意識が戻らないとはいっても、相変わらず、その瞳は大きく開いている。
とても奇妙な光景だ。
今までにもこういう事態は何度かあったが、ここまで意識が戻らないなんて。
しかし、彼女は時々「フィリップ」「トム」「グウェン」といった、
聞いたことのない名前をつぶやいていた。だがそれだけだ。
「能力」が大きな代償を伴うことを実感していた。
能力――――そうだ。エマがこの状態に陥ったのも、能力が原因だ。
ということは、種類は違っても、能力を持ったギャリーなら、なんとか出来るかもしれない。
そう思い、ギャリーに声をかけた。
シ「なぁギャリー。エマが能力のせいでこうなったんだったら、
お前が何とかできるんじゃないか？」
ギャ「...能力、そうか」
ジェ「シリウス、冴えてるな...！」
闇の中にあった皆の心に、希望の光がともる。
もしかしたら、エマを取り戻せるかもしれない。
ピ「じゃあ試してみようよ」
リー「待ってて。ダンブルドアとリリーを呼んでくる」
心臓がばくばくと音を立てている。緊張感が漂っているこの医務室に、リリーの姿はない。
この状態のエマを見ることが耐えられなかったのか、しばらく顔を出していなかった。
俺達はというと、一日中この場所で過ごしている。今が休暇であってよかったと思う。
勢い良く扉が開き、ダンブルドア、リリー、そしてリーマスが入ってきた。
シ「校長先生、ギャリーの能力を使えば、なんとかなるんじゃないですか？」
ダ「やってみる価値はありそうじゃ。よく思いついたのう」
リ「エマが助かるのね...？」
ダ「まだわからんが、もしかしたらということはある。やってみようぞ」
ギャ「...はい」
ベッドに寝かされたエマを取り囲み、緊張した面持ちで、ギャリーがエマに触れた。
＊
彼女の白い肌に触れたその時、辺りは一変し、金色の麦畑が広がった。
そのあまりの明るさに目がくらみ、彼女から手を離すと、めまいと頭痛ともに、
俺の意識は医務室に戻った。
その不思議な感覚と頭痛に、足がふらつく。
リ「ギャリー、大丈夫？」
ギャ「...あぁ」
リー「何か見えたの？」
ギャ「うん...麦畑が見えた」
ジェ「それじゃ、エマと意識が繋がったってことか」
ダンブルドアが静かに言った。
ダ「ギャリー、わしも共に行って良いかのう？彼女の意識の中へ」
ギャ「はい」
ダンブルドアと手を繋ぐ。そしてもう一度、エマの肌に触れた。
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花吹雪 - 最初「蛇の呪いの目」を読んだんですけど、まさかこれに繋がってるとは…… (2018年2月25日 22時) (
レス) id: 0d387c6cdc (このIDを非表示/違反報告)
masyu - 一気読みしました......凄く切ない......素敵なお話でした！今から次のお話も読ませていただきます！応援してます！ (2018年1月7日 20時) (レス) id: 065dd9adad (このIDを非表示/違反報告)
ユイ(プロフ) - とても面白かったです！とても幸せそうだけれどほんとは悲しい物語で最後泣いちゃいました(´；ω；｀) (2017年12月23日 7時) (レス) id: c37e0e7b77 (このIDを非表示/違反報告)
暖（受験生）(プロフ) - おぉー！一気に読んでしまいました！とても面白かったです^^完結おめでとうございます！面白かったです^^ (2016年12月27日 2時) (レス) id: 1ca1a708f4 (このIDを非表示/違反報告)
漆 かよ(プロフ) - 素晴らしいお話でした！長くなってしまい申し訳ありません。こんなに感動したのは初めてで、言葉にしきれません…。短編集も閲覧させて頂いたのですが、もう素晴らしいしか言えません！！長文失礼しました。オチはフレッドに一票でお願いします(*´∀`) (2016年12月21日 0時) (レス) id: c34cbcce1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イレイ | 作成日時：2016年4月19日 0時
