アフターストーリー 十四話 ページ35
そう、これが私の目的だったのだ。
私の名前をこの世から消すこと。
それは書物からも、いずれは、大切な人達の記憶からも。
ヴォルデモートに乗り移られては、これから私が何をしでかすかわからない。
そして悪の存在として私の名前が残れば、娘のAも、
私の友人達も、危険な目に合うかもしれない。
だから私は、自分の名前をこの世から消し去ると決めた。
ダンブルドアの部屋の前にやってきた私は、
思いつく限りのお菓子の名前を唱えた。
「フィフィ・フィズビー」
すると、私の前を塞いでいた石像がまるで生きているかのように動いた。
扉をノックすると、久々に聞く優しげな老人の声が返ってくる。
『こんにちは、ダンブルドア』
＊
『マッドアイ、待たせてごめんなさい。帰りましょう』
私は寂しく、遠ざかるホグワーツ城を見つめた。
『護衛ありがとう、マッドアイ』
「僕からもお礼を言うよ」
ギャリーが帰ってきた私の手をしっかりと握りしめながら言った。
「お安い御用だ。だが、もうあまり外に出るなよ」
マッドアイはそう言い残すと、私達の家を後にした。
私は立ち去るマッドアイの背中にこっそりと杖を向け、
小さく呟いた。
『オブリビエイト』
＊
『ギャリー、もうダンブルドアもマッドアイも頼れないわ』
私はローブを放り投げ、ソファに深く腰を下ろした。
ギャリーは眉間にしわを寄せ、私に聞いた。
「なんで？」
『彼らの記憶を消したの。そのためにホグワーツに行ったのよ』
私の言葉に、ギャリーは大きく目を見開いた。
「どうしてそんなことを...彼らは俺たちにとって大切な存在だぞ」
『私はこの先何をするかわからないわ。そうなる前になんとかするつもりではいるけど、
もし大変なことが起きたら、私を知っている人達まで巻き込まれる。
これしか、彼らを守る方法はないのよ...
私にはもう、貴方がいれば十分だわ』
そう強がっては見るものの、大切な人から私の記憶が失われていくのを見るのは、
やはり胸が苦しい。
音も立てずただ流れていく私の涙を、ギャリーがそっとぬぐった。
「俺は君と、最後まで一緒だ」
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花吹雪 - 最初「蛇の呪いの目」を読んだんですけど、まさかこれに繋がってるとは…… (2018年2月25日 22時) (
レス) id: 0d387c6cdc (このIDを非表示/違反報告)
masyu - 一気読みしました......凄く切ない......素敵なお話でした！今から次のお話も読ませていただきます！応援してます！ (2018年1月7日 20時) (レス) id: 065dd9adad (このIDを非表示/違反報告)
ユイ(プロフ) - とても面白かったです！とても幸せそうだけれどほんとは悲しい物語で最後泣いちゃいました(´；ω；｀) (2017年12月23日 7時) (レス) id: c37e0e7b77 (このIDを非表示/違反報告)
暖（受験生）(プロフ) - おぉー！一気に読んでしまいました！とても面白かったです^^完結おめでとうございます！面白かったです^^ (2016年12月27日 2時) (レス) id: 1ca1a708f4 (このIDを非表示/違反報告)
漆 かよ(プロフ) - 素晴らしいお話でした！長くなってしまい申し訳ありません。こんなに感動したのは初めてで、言葉にしきれません…。短編集も閲覧させて頂いたのですが、もう素晴らしいしか言えません！！長文失礼しました。オチはフレッドに一票でお願いします(*´∀`) (2016年12月21日 0時) (レス) id: c34cbcce1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イレイ | 作成日時：2016年4月19日 0時
