アフターストーリー 五話 ページ26
激しかったレギュラスの呼吸も次第に落ち着いてきた。
どうやら、懐中時計に効果はあったらしい。
『良かった...助かったみたい』
ク「レギュラス様...！あぁ、貴女様のお陰です。命の恩人だ...！」
クリーチャーの大きな瞳から、ぽろぽろと雫がこぼれ落ちた。
ほっと安堵したその時、得体の知れない頭痛が私を襲った。
声を発せないほどの痛みに、思わず呻き声を上げる。
ク「エマ様？」
『ううん、なんでもない。クリーチャー、レギュを君の家まで運べる？』
ク「はい。本当に、ありがとうございました。このお礼は、いつか必ず」
『お礼なんていいのよ。私の親友だもの』
クリーチャーは深く頭を下げると、左手でレギュラスに触れ、
右手でパチっと指を鳴らした。
二人は、私の前から姿を消してしまった。
＊
どうやら私のあの夢は、予知夢か何かだったらしい。
どうしてあんな夢を見たのかは未だに謎だが、そのおかげで、
私の大切な友を救う事が出来たのだ。
そして私は今、得体の知れない頭痛に襲われている。
汗をかき、ぐったりとしながらも、家の扉を開けると、
私はひどい痛みでその場に座り込んでしまった。
リー「エマ？どこに行って―――――エマ...！」
私を見つけたリーマスが、驚いて私の方へ駆け寄る。
私は咄嗟に、私に触れようとしていたリーマスの手を突き放した。
リーマスは凍りついたような顔で、私を見つめている。
何か変なのだ。風邪でもないのに、倒れそうなほどの頭痛なんて。
こういう時ほど、私の能力は危険な状態にある。
『散歩してたら...風邪を引いたみたいで、頭が痛くなって。
でも大丈夫。すぐよくなるよ。部屋で寝ててもいい？』
リー「あぁ、うん」
『一人で歩けるから』
私は引きつった笑みをリーマスに向けると、
よろめきながらも部屋に入り、ドアを閉めた。
＊
『はぁっ...痛いなぁ...もう...』
ごそごそとローブの中を探り、懐中時計を出そうとした。
しかし案の定、懐中時計には異変が起きていた。
ローブの中から出てきたのは、懐中時計のネジやガラス片、
ばらばらに砕けた部品だった。
ヴォルデモートの呪いを、レギュラスに変わって受けたせいらしい。
私の頭痛の原因もこれだろう。
今まで私の能力を抑えていたものが急になくなってしまったことで、
体に負担がかかってしまったのだ。
今の私は危険だ。
弾丸のこめられた銃を持っていると同じこと。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 120人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
花吹雪 - 最初「蛇の呪いの目」を読んだんですけど、まさかこれに繋がってるとは…… (2018年2月25日 22時) (
レス) id: 0d387c6cdc (このIDを非表示/違反報告)
masyu - 一気読みしました......凄く切ない......素敵なお話でした！今から次のお話も読ませていただきます！応援してます！ (2018年1月7日 20時) (レス) id: 065dd9adad (このIDを非表示/違反報告)
ユイ(プロフ) - とても面白かったです！とても幸せそうだけれどほんとは悲しい物語で最後泣いちゃいました(´；ω；｀) (2017年12月23日 7時) (レス) id: c37e0e7b77 (このIDを非表示/違反報告)
暖（受験生）(プロフ) - おぉー！一気に読んでしまいました！とても面白かったです^^完結おめでとうございます！面白かったです^^ (2016年12月27日 2時) (レス) id: 1ca1a708f4 (このIDを非表示/違反報告)
漆 かよ(プロフ) - 素晴らしいお話でした！長くなってしまい申し訳ありません。こんなに感動したのは初めてで、言葉にしきれません…。短編集も閲覧させて頂いたのですが、もう素晴らしいしか言えません！！長文失礼しました。オチはフレッドに一票でお願いします(*´∀`) (2016年12月21日 0時) (レス) id: c34cbcce1b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：イレイ | 作成日時：2016年4月19日 0時
