アフターストーリー 四話 ページ25
嫌な夢を見た。
学生時代、嫌というほど見たあの夢だ。
大切な貴方を何度も殴る、私の止まらない手。
洗っても洗っても落ちない、真っ赤な血。
誰かに操られるという、あの気持ちの悪い感覚。
ここ最近は全く見ていなかったのに、おかしい。
場面が変わり、そして最後に見たのは、今までで見たことのない景色だった。
青年が洞窟の中、金のロケットの入った水盆の水を飲んでいる。
飲み干すと、青年はぐったりと倒れてしまった。
漆黒の髪に、これまた吸い込まれそうなほど黒い瞳。
どこか見たことがある。
屋敷しもべ妖精が泣き喚きながら、彼を起こそうとする。
しかし――――――
そこで、その不思議な夢は終わってしまった。
＊
全速力で駆けつけた場所。
今日夢で見た、あの洞窟だ。
『お願い...間に合って――――』
私の予想は的中した。
湖の向こう側の岩場に、ぐったりと倒れる青年の姿がある。
『レギュラスっ...！！』
大急ぎで船を漕ぎ、岩場に着くと、私はレギュラスの元にしゃがみこんだ。
『ねぇ、レギュ、しっかりして...』
レギュラスは苦しそうに息切れしている。
突然、何かに足を掴まれた。
驚いて振り向くと、湖から、生きた人間のものとは思えないようなやせ細った手が、
私の足を掴みかかっていた。
『やめてよっ...！』
能力が発動し、そのやせ細った手は、湖の奥深くへ沈んでいった。
レ「げほっ...はっ、エ、エマっ...」
『レギュっ！！わかる...！？しっかり！』
私が必死にレギュラスに呼びかけていると、隣で、
今まで気配を消していた屋敷しもべ妖精が呻き声のようにしゃがれた声で言った。
ク「エマ様...私は、屋敷しもべ妖精のクリーチャーです。
どうか、レギュラス様をお助けください...！」
『でも、どうすればっ...』
ク「魔法では効きません。ヴォルデモートがかけた呪いです...
何か、特別なことがなければ...レギュラス様は...」
『そうだ...！』
私は首からかけていた、ひび割れた懐中時計を、ローブの中からひっぱり出した。
私の力を吸収し、守ってくれていたこの時計。ギャリーの力がこもった、この時計。
もしかしたら、レギュラスの痛みも吸収してくれるかもしれない。
『大丈夫、大丈夫だから...』
どうか、レギュラスを助けて―――――
そう願いながら、私は必死にレギュラスに懐中時計を握らせた。
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花吹雪 - 最初「蛇の呪いの目」を読んだんですけど、まさかこれに繋がってるとは…… (2018年2月25日 22時) (
レス) id: 0d387c6cdc (このIDを非表示/違反報告)
masyu - 一気読みしました......凄く切ない......素敵なお話でした！今から次のお話も読ませていただきます！応援してます！ (2018年1月7日 20時) (レス) id: 065dd9adad (このIDを非表示/違反報告)
ユイ(プロフ) - とても面白かったです！とても幸せそうだけれどほんとは悲しい物語で最後泣いちゃいました(´；ω；｀) (2017年12月23日 7時) (レス) id: c37e0e7b77 (このIDを非表示/違反報告)
暖（受験生）(プロフ) - おぉー！一気に読んでしまいました！とても面白かったです^^完結おめでとうございます！面白かったです^^ (2016年12月27日 2時) (レス) id: 1ca1a708f4 (このIDを非表示/違反報告)
漆 かよ(プロフ) - 素晴らしいお話でした！長くなってしまい申し訳ありません。こんなに感動したのは初めてで、言葉にしきれません…。短編集も閲覧させて頂いたのですが、もう素晴らしいしか言えません！！長文失礼しました。オチはフレッドに一票でお願いします(*´∀`) (2016年12月21日 0時) (レス) id: c34cbcce1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イレイ | 作成日時：2016年4月19日 0時
