百六十四話 夜はすぐに明けてしまう ページ17
『私の貴重な睡眠時間がっ...』
ジェ「おい、クィディッチの練習サボったら許さないからな」
『はいはい、わかってるって』
ジェームズ達はこの最後の年に、意地でも優勝杯を獲得するとやる気だ。
対レイブンクロー戦はテスト後だ。まだテストも始まっていないのに練習は始まった。
リ「あまりエマに無理させないで？」
ジェ「わかってるよ」
シ「でも今年はどうしても優勝杯とりたいんだよ」
わかってる、わかってる。私が頑張ればいい話なんだ。
面倒くさがり屋を卒業しなきゃなぁ...
『よし、宿題終わらせないと！』
ギャ「その息だ、エマ」
『そういうギャリーも終わってないんでしょ？』
ギャ「俺のことはいいんだよ」
『リーマス、手伝ってくれる？』
リー「うん、もちろんいいよ」
シ「おいおい...二人で図書館って、勉強はかどんのかよ――――いだっ」
私はシリウスに強烈な蹴りを入れた。
『一言余計なのよ』
ピ「まぁまぁ...」
今日も笑い声が響く、幸せな時。
卒業まで、あと二ヶ月。
＊
また、どしゃぶりの雨でクィディッチの練習だ。
どうしてこうも、練習の日には雨ばかりなんだろう。
溜め込んでいた宿題を夜な夜なやって疲れているというのに、体に応える。
五月で梅雨だと雨が降るというのは、日本の話だったと思ったんだけど。
『っくしゅん...！』
私は鼻をすすりながら、競技場へ向かった。
選手の部屋のロッカーの中の箒を、心の中で呼ぶと、一瞬で手元に飛んでくる。
私には「アクシオ」なんて呪文はいらない。
なんたって、この能力があるんだから。都合のいい時は役に立つなんて、厄介だ。
『あ、おはよう、リーマス、ジェームズ、シリウス』
シ「...なんで『おはよう』？」
『さっきまで寝てたから』
リー「あぁ、寝起きなんだね。大丈夫？寒くない？」
『大丈夫、心配しすぎだよ。私病弱でもないし』
ジャ「彼女の心配はしたくなるもんなの」
『ありがと、リーマス』
＊
雨の中、びゅんびゅん箒で飛び回り、ローブはずぶ濡れ。
『うぅ...あぁ、寒い』
練習終わりに、私がそんなことを一人で呟いていると、
後ろからぎゅっと抱きしめられた。
『...リーマス？』
リー「...うん？」
耳元でリーマスの優しい声が響く。
リー「暖いかなって思って」
『ふふっ...ありがとう、暖かいよ』
冷え切っていた体が、温まっていく。
百六十五話 テストも終わりを告げる→←百六十三話 待ちくたびれたこと
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花吹雪 - 最初「蛇の呪いの目」を読んだんですけど、まさかこれに繋がってるとは…… (2018年2月25日 22時) (
レス) id: 0d387c6cdc (このIDを非表示/違反報告)
masyu - 一気読みしました......凄く切ない......素敵なお話でした！今から次のお話も読ませていただきます！応援してます！ (2018年1月7日 20時) (レス) id: 065dd9adad (このIDを非表示/違反報告)
ユイ(プロフ) - とても面白かったです！とても幸せそうだけれどほんとは悲しい物語で最後泣いちゃいました(´；ω；｀) (2017年12月23日 7時) (レス) id: c37e0e7b77 (このIDを非表示/違反報告)
暖（受験生）(プロフ) - おぉー！一気に読んでしまいました！とても面白かったです^^完結おめでとうございます！面白かったです^^ (2016年12月27日 2時) (レス) id: 1ca1a708f4 (このIDを非表示/違反報告)
漆 かよ(プロフ) - 素晴らしいお話でした！長くなってしまい申し訳ありません。こんなに感動したのは初めてで、言葉にしきれません…。短編集も閲覧させて頂いたのですが、もう素晴らしいしか言えません！！長文失礼しました。オチはフレッドに一票でお願いします(*´∀`) (2016年12月21日 0時) (レス) id: c34cbcce1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イレイ | 作成日時：2016年4月19日 0時
