百六十二話 告白のとき ページ15
また朝が来た。
昨日のあの光景が忘れられないまま。
カーテンの隙間から、朝日が差し込む。
少し時間が早いせいか、肌寒い。私はタオルケットを羽織ると、
談話室に下り、人気のない廊下へと出た。
階段に座り込む。
私はこの、人気のない、静かな朝の雰囲気が好きだ。
一人そんなことを考えていると、遠くから足音が聞こえた。
それはこちらに近づいてくる。こんな朝早く、誰だろうと、耳を澄ました。
リ「...エマ。おはよう」
『リーマスか。びっくりした。おはよう、朝早いんだね』
リ「目が覚めちゃったんだ」
そう微笑むリーマスに、私もぎこちなく笑い返す。
あぁ、今、簡単に言えたらいいのに。
「好きだ」って、たったその一言じゃないか。
でも、どうしても言えないんだ。意気地なし。
ずっと不安だった昨日、やっと決心したのに、貴方が他の人とキスするところを見るなんて。
そのせいで、心がへし折られてしまった。
ジェームズも、シリウスも、ピーター、リリー、セブルス、レギュラス。
打ち明けたら、皆が応援してくれた。
失敗したら、慰めてくれる仲間がこんなにたくさんいる。
それなのにどうして、言葉が出ないんだろう。
リ「...エマ、あのさ」
『うん、何？リーマス』
リ「僕、君が好きだよ」
『――――私も好きだよ？当たり前でしょ。親友なんだもん』
リ「そうじゃなくて、君に恋してるってことなんだけど...」
一瞬で思考が停止する。
リーマスが私を好き？
ずっと望んでいた展開なのに、信じられない。
そんなはずない。こんな私を――――――
リ「突然ごめんね。もう最後の年だから、言わないと後悔すると思ったんだ」
『でもリーマス、昨日...ミズキとキスして―――――』
リ「...えっ、何で知ってるの...！？」
『み、見ちゃったの...ごめんなさい』
リ「向こうからされて、びっくりしたんだ。でも、告白は断ったよ。
僕はずっと、君が好きだった」
ほっとしてため息が漏れる。あぁ、嬉しくてたまらない。
ずっと、お互いに想い合ってたなんて。
『私も好きなの、リーマスが』
リ「...本当に？」
『嘘なんてつかないよ』
私は笑顔で、リーマスにぎゅっと抱き着く。
親友同士のハグではなく、愛するものどうしのハグだ。
貴方が愛おしくてたまらない。
『大好きよ、リーマス』
リ「うん、僕もだよ」
ゆっくりと唇が重なる。
愛を噛み締め合い、上書きするように。
心から、貴方を愛してる。
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花吹雪 - 最初「蛇の呪いの目」を読んだんですけど、まさかこれに繋がってるとは…… (2018年2月25日 22時) (
レス) id: 0d387c6cdc (このIDを非表示/違反報告)
masyu - 一気読みしました......凄く切ない......素敵なお話でした！今から次のお話も読ませていただきます！応援してます！ (2018年1月7日 20時) (レス) id: 065dd9adad (このIDを非表示/違反報告)
ユイ(プロフ) - とても面白かったです！とても幸せそうだけれどほんとは悲しい物語で最後泣いちゃいました(´；ω；｀) (2017年12月23日 7時) (レス) id: c37e0e7b77 (このIDを非表示/違反報告)
暖（受験生）(プロフ) - おぉー！一気に読んでしまいました！とても面白かったです^^完結おめでとうございます！面白かったです^^ (2016年12月27日 2時) (レス) id: 1ca1a708f4 (このIDを非表示/違反報告)
漆 かよ(プロフ) - 素晴らしいお話でした！長くなってしまい申し訳ありません。こんなに感動したのは初めてで、言葉にしきれません…。短編集も閲覧させて頂いたのですが、もう素晴らしいしか言えません！！長文失礼しました。オチはフレッドに一票でお願いします(*´∀`) (2016年12月21日 0時) (レス) id: c34cbcce1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イレイ | 作成日時：2016年4月19日 0時
