沸点と融点 season3【鬼滅の刃】【煉獄杏寿郎】 [完]

思いは届く ページ16

「Aさん、大丈夫ですか？」



添園さんが目覚めたから、しのぶさんも私も、他の人だって煉獄さんもすぐに目覚めるだろうと信じてた。






あれから5日経った。

煉獄さんが起きる気配はいまだにない。





「Aさん、お昼ご飯を作ったのでよければ食べてください。」


「ありがとうございます。」



しのぶさんは近くの机にカタンと置くと、私の方を見て苦い顔をした…気がする。



「Aさん、ご飯を食べないと体が持ちませんよ。煉獄さんのそばにいたい気持ちはわかりますが。」


「これでも一応、食べてますよ。」





煉獄さんから離れたら、私が知らない間に冷たくなってるんじゃないかという不安で、任務や、"やらなければいけないこと"以外の時間は煉獄さんの側から離れられなくなってしまった。




……なんで、煉獄さんだけ。





「Aさん、恐らく煉獄さんだけ眠りが、いや、術が強いのは、」


「僕がこいつに直接術を送り込んだからだよ。」





しのぶさんでも、私でもない声が後ろから聞こえた。




この声、

この匂い…






「白夜！！！」



咄嗟に刀を構える。

なんでここがわかった。

なんでここにいる。




「ちなみに君たちが受けた血気術はそれの余波。
だからこの人のより弱いんだ。

あ、ちなみにここにいるのは君に会いにきたんだよ。」




ああ、そうだった。

こいつは目が合ってる限り相手の思考が読み取れるんだっけ。





「ねえ、今どんな気分？
君の愛する人が僕の術から抜け出されなくて眠ってるのは。
どうする？一生このまま目が覚めなかったら。」


「……あんたらを倒せばいいだけの話よ。」


「あはは！いい目つきだねえ！
もっと怒らせたくなるよ！」






ゆっくり、ゆっくりとこちらに近づいてくる。

隙を見て首を落としたい。




「ちょっとだけ、悪い幻覚でも見せてあげようか。」



白夜はそう言うと煉獄さんのおでこをめがけて手を伸ばす。





「触るな！！！！」



これ以上煉獄さんに何かするのは絶対に許さない！


「ちょっと大人しくしてて。」



白夜がそう言うと同時に体が動かなくなる。

なんでっ動いて！私の体！




…そうか、あの目か。


思考を読み取れるだけじゃなくて、あの目は逆らえない何かがある。




「ッ……やめろ！」


「あははは！いいね！
僕はそういう目が大好きなんだ！」





そして白夜が煉獄さんに触れた時だった。





パリーーンッ

部屋の窓が勢いよく割れた。

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