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75話 ページ31

高く聳える風がよく吹き抜ける建物の上で、今僕は確かに懐かしい香りと声を聞いた。




ゆっくりとそちらに目を移せば、今まさに僕の頭の中を支配していた愛おしくてやまない彼女の姿がある。






「……んー?
やっぱ僕疲れすぎじゃない?
幻覚が見える。」




その瞬間、油断していた僕は無限を解いていて、久しぶりに痛みという痛みを頭にくらった。




あぁ…痛い、から夢じゃないんだ……






……は?!






『あと何発拳骨すれば目が覚めますかね?』


「え、いや…え??
本当に……A、なの?」


『ふふ…そうですよ。』





少し見ない間に…と言っても、数ヶ月は経過しているか。


髪の毛は伸びて、色も染めたのか上品なブラウンになっていて、しかも…ちょっと痩せた?





それでも僕に向ける笑顔は記憶のままの君で。




あー…情報量多くてまとまんない…ただでさえ頭が最高潮に回ってないのに。






「…なんで、ここにいんの?」




そう、まずはそれだ。



僕の顔がよっぽど面白かったのか、一度吹き出して横を向いた後に、振り返った彼女は眉を寄せて僕を軽く睨む。


可愛い。






『それはこっちの台詞ですよ。
何も無しに、一人でこんなに遠い異郷の地に行くだなんて信じらんない。』



「怒ってる?」



『怒ってますよ!!!

………寂しかった。』




縋り付くように僕の胸に遠慮気味に抱きついた彼女に、どうしようもない気持ちが溢れて止まらなくなる。




とりあえず僕もその背中に手を回せば、息が止まりそうなほど抱きしめ返されて思わず背中を叩く。




この子…前から思ってたけど、かなり遠慮がないな?



そういうところも含めて好きなんだけどさ。






『…いつ帰国するんですか。
いや、今すぐ一緒に帰りますよ。』


「んーそうしたいのも山々なんだけど、
何せ僕を求める声が多くてさ。」


『じゃあ終わるまで私もこっちにいます。』


「ダメでしょ。君は……」






そこで思い出す。


さっきの彼女のツイートが頭をよぎる。





あー…でも、なんか。





「…"また"、イケメンと共演だってね?」


『あ、見ました?そうなんですよ。』


「こんなにイケメンでお強いフィアンセがいるってのに、この浮気者め。」


『そんなフィアンセ様は、大事な女の子を放って海外に行っちゃうとんでもないやつなんですけどね。』


「ゔっ…」





『日本にいる彼の方がよっぽどいいかもね。』なんてトドメを刺してきやがるし。

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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟   
作品ジャンル:恋愛
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きのこ姫(プロフ) - 禪院が禅院になってますよ〜 (3月8日 10時) (レス) @page6 id: 5521fd53c5 (このIDを非表示/違反報告)
園実(プロフ) - 言葉の使い方がおかしい所が多すぎて… (2022年2月14日 6時) (レス) @page18 id: 583543dbeb (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - ayastさん» ありがとうございます…!そう言っていただけて本当に本当に嬉しいです…(涙)この作品を見つけてくださり心より感謝しています^_^ (2022年2月12日 21時) (レス) id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
ayast(プロフ) - 連載お疲れ様でした!!お話大好きでした! (2022年2月9日 23時) (レス) @page35 id: af36fdec29 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - はなさん» わわわ…!本当ですね!教えていただきありがとうございます🙇🏻‍♀️ やっぱリップ、、じわじわきます…www (2022年2月5日 22時) (レス) @page25 id: 960672bf5f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2022年1月20日 21時

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