45話 ページ46
でも、もう今更後には引けない。
半分だけ妙に落ち着いた頭を働かせて『いつもこんなことしてるの?最低。』と女の子の前に立つ。
もちろん、その言葉が反感を買うことなんてわかってる。
胸ぐらを掴まれて思い切り睨まれる。
それでいい、注意が私に全部向けばいい。
しっかしまあ…なんで柄でもなく人助けなんてしてるんだ。
今更後悔しながら、振り上げられた拳にギュッと目を閉じると、
「やめとけ。死ぬぞお前。」
…やっぱり来てくれた。
その声を聞いて安心すると同時に、私の胸ぐらを掴むソイツは「邪魔すんな伏黒。」とそちらを睨む。
「馬鹿は言ってる意味がわかんねぇか。
俺に殺されるっていう意味なんだが、
それでもその手離すつもりねぇんだな?」
「…ッ!チッ!」
思い切り私を離すから、転けかけるところを伏黒くんに支えられた。
去っていくその無様な姿を見ていると「…この馬鹿!」と怒鳴られて、ギュッと抱きしめられる。
「何やってんだ…」
『体が勝手に動いちゃって……』
「…お人好しかよ……ヒヤヒヤさせやがって…」
耳元でふぅ…と息を吐く伏黒くんに、あぁ…心配させてしまったんだと今更ながら罪悪感に苛まれた。
そこで思い出した私が、伏黒くんの腕から抜け出して未だに床に座り込むその子の前まで行く。
『大丈夫?』
「は、はい…ありがとう……」
手を貸せば握ってくれたけど、なんて華奢で白い肌。
顔を上げた時に見えた可愛らしい顔立ちを思わず眺めていれば「お名前…何ですか?」と聞かれる。
『A、です…』
「あ、私……虎澤紗里と言います…。」
『紗里、ちゃん…』
名前まで可愛い。
『あの子、可愛いかったね。』
「そうか…?」
帰り道、そんな会話を伏黒くんとしていた。
至って彼は理解できない…というような顔をずっとしていたけど。
でも…どうしてあんなに可愛い子があんな風に絡まれていたんだろうか。
「うちの母が、他の男の人と歩いてるところを見たって噂が広がっちゃって…。」
『あ……』
それ、私と同じような理由だ。
どうして他人の家庭事情だけで酷いことをしてくるのか、本当に理解ができない。
少しずつ仲良くなる中で、紗里ちゃんが伏黒くんと同じクラスということを知った。
『紗里ちゃん守ってあげてよ。』
「……は?」
これが私の犯した間違い。
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美悠 - ちゃっぱさん» じゃあ洪水のように泣きますねw(え?)続編おめでとうございます!!! (2022年3月17日 20時) (レス) id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» 大丈夫です。その涙、受け止める覚悟は済んでます。地中海の底までサヨナラしたいですよねっ♡() (2022年3月17日 19時) (レス) @page50 id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - 読んでて泣きそう…どっちもいい子すぎる…とりあえず紗里ちゃんは沈めてきます…☆(野蛮) (2022年3月14日 23時) (レス) @page48 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» 優等生と思わせておいてからの、その見た目に反してってやつですよね…あぁ、好きぃ (2022年3月14日 1時) (レス) @page48 id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - ちゃっぱさん» 恵ちゃんは美形でクールですけど、実は元ヤンなところ凄くポイント高いんですよ笑 (2022年3月11日 21時) (レス) @page46 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2021年12月26日 0時