雨の日に虎を拾った【呪術廻戦】

13話 ページ14

「うんめ〜！」




目の前でパンケーキを頬張った悠仁くんを、自分の頬が緩むのを感じながら眺めていた。



ここは担任の先生にオススメされたお店らしい。




先生とも仲良いいところが凄く想像できちゃう。






『あはは！クリーム付いてる！』


「え、まじ？」


『まじまじ。取ってあげるよ。』




悠仁くんの頬についた白いクリームを指で掬って口に運べば、甘い味が広がる。






『あま………
って、どうしたの？』





悠仁くんの方を見れば、なぜか固まったままで私を目を見開いて凝視していた。



何かまずいことしちゃった……？！





「……………それ、無意識？」


『えっ…と、何が？』


「はぁぁぁ………だからAは男に狙われやすいのかぁぁ……」


『何の話…………あ、』





そういうことか…！


私としたことが、いつも友達にしていることを、まさか男の子に無意識にしてしまうなんて…！




あぁ…どう撤回すればいいのか……




熱くなるのを感じた自分の顔を思わず手で覆って、悠仁くんを見ればほんのり悠仁くんの頬も赤い気がした。






「でも、ちょっとときめいた。」


『……もうやめてください。』


「Aイケメン。」


『やめてってば…！』






その後、「俺以外の男にはしちゃダメだかんね。」と真剣な顔をして言われた後、





「はい、お裾分け！」





と言ってパンケーキを乗せたフォークが私の口に突っ込まれた。



さっきより甘くて美味しい…なんて、まだ恥ずかしい気持ちを抑えて頬張っていれば、





「関節キス。」




なんてニヤリと笑いやがった。



完全にやり返された……。







.






『これ可愛い……。』




悠仁くんがお手洗いに行っている間に、私はふと見えた近くのお店を1人で物色していた。




でもバイト代入るのまだなんだよなぁ…。



私にはそれが一段と輝いて見えるネックレスを満足するまで眺めた後、諦めて店を出た時だった。







「オネーさんっ！今1人〜？」





明るく陽気な声と共に、肩には腕が回された。


あ、これナンパか。





なぜか妙に冷静で、でもナンパされたという謎の優越感に呑気に浸っていれば、




「俺らとどっか行こー？」




なんてもう片方からも挟まれた。





『すみません、連れがいるので。』





やんわりと断って、その腕を退かそうとした時だった。





「虎杖悠仁くんのことかな？」




ﾊﾞｯと男達を見れば、ニヤリと口角を上げた。

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