12話 ページ13
結局、悠仁くんが私の手を離すことはなくて私達は手を繋いだまま街中を歩いた。
彼曰く、「俺が迷子にならねぇように。」とのこと。
「うっわ〜!これ超可愛い!
パンダ先輩に似てる!」
『………パンダ、先輩…』
「俺の先輩にパンダ先輩っていう、めっちゃ可愛い人がいんだよ。」
『……先輩?
それは果たして"人"なの……??』
悠仁くんは色んなものに興味津々で、行く先毎に目を輝かせていた。
そんな風にはしゃぐ姿を初めて見たから、私も楽しくて一緒になって隣で見ていた。
変だなぁ…つい最近までは赤の他人だったのに、悠仁くんのコミュニケーション能力の高さというか、人懐っこさというか…、ずっと前から友達だったような感覚だ。
「あ、待って。…ん。」
『え、また繋ぐの?』
「繋ぐんです!」
『はーい。』
お店から出れば必ず私に手を差し出す悠仁くんに、私もつられて出しちゃうんだけど、…まあ、普通の友達ならここまですることはない、はず。
悠仁くんだから、なのかなぁ……。
「俺が待つよ。」
『大丈夫だよ?』
「俺、男だし力あるから。」
『…じゃあ。』
お買い物した物は私の物でも必ず持ってくれる。
どこまでできる男なんだ……。
感心して思わず悠仁くんを眺めていれば、「体に穴空くからやめて。」なんて笑いながら言うんだ。
なんか……
『……久しぶりに、ちゃんと楽しいなぁ。』
「え、」
『え?……あぁ…!
私ってば何言ってんだろ…あはは。』
心の底から出た本音だった。
まさか口に出るなんて思わないから笑って誤魔化した。
「俺も、すげぇ楽しい。」
『ッ…。』
優しく、太陽みたいに笑う悠仁くんに思わず顔を逸らす。
ほら、だからそういうところだよ。
悠仁くんはよくわかんない。
男子高校生らしくちょっと子供っぽい人なのか、それとも内に凄まじい何かを秘めた大人びた人なのか。
「Aからその言葉が聞けてよかった。」
『え…?』
「俺といて、退屈じゃないって感じてくれてるのが嬉しい。」
『…思うわけないよ。
悠仁くんと出会ったあの日から、退屈だった日はない。』
「そっか。」
むしろ、今まで以上に楽しいんだから。
なんだかむず痒い気持ちになってしまった。
でも、悠仁くんも同じなのかお互いしばらく会話をしないままだった。
でも、手はしっかりと繋がっていた。
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美悠 - ちゃっぱさん» じゃあ洪水のように泣きますねw(え?)続編おめでとうございます!!! (2022年3月17日 20時) (レス) id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» 大丈夫です。その涙、受け止める覚悟は済んでます。地中海の底までサヨナラしたいですよねっ♡() (2022年3月17日 19時) (レス) @page50 id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - 読んでて泣きそう…どっちもいい子すぎる…とりあえず紗里ちゃんは沈めてきます…☆(野蛮) (2022年3月14日 23時) (レス) @page48 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» 優等生と思わせておいてからの、その見た目に反してってやつですよね…あぁ、好きぃ (2022年3月14日 1時) (レス) @page48 id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - ちゃっぱさん» 恵ちゃんは美形でクールですけど、実は元ヤンなところ凄くポイント高いんですよ笑 (2022年3月11日 21時) (レス) @page46 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2021年12月26日 0時