20話 ページ21
「どうしたのその腕!」
次の日、学校へ行けば色々な人から仰天された。
『あはは〜』なんて誤魔化して、やっと周りも落ち着いてきた。
しかし、片腕が使えないだけでこんなにも生活がしづらいなんて……絶対に同じ怪我はしない。
「鞄持つよ?」
『大丈夫だよ。ありがとう。』
沢山心配してくれる友達と並んで帰ろうと門を通った時だった。
「よっ。」
『悠仁くん…!』
「あ、Aの彼氏くん。」
『違います。』
壁に背を預けて、片手をポケットに入れて立つ悠仁くんがいた。
悠仁くんは「やっぱ彼氏に見える?」なんてニヤニヤしながら言うから、軽く蹴りをかましておいた。
「一緒に帰らない?」
『あ、でも……』
友達を見れば、「いいよ。帰んな、"彼氏"と。」なんてこちらもニヤニヤして、ピューンと去って行った。
……だから彼氏じゃないってば!
背中を睨みつけていると、不意に右肩が軽くなる。
「そんじゃ、帰るか。」
『う、うん。』
……さりげなく、私の鞄を持ってくれているのは紳士以外に何と呼べるのか。
きっと、ここで私が拒んでも悠仁くんは頑なに鞄を返してくれないと思う。
『ありがとうね。』
「んー?何のこと?」
ほらね。
ちゃっかりカッコいいんだから。
学校の前で待っていてくれたのも、私の怪我を心配してくれてなのかな…なんて、それは私の想像として留めておこうと思う。
「夜ご飯何がいい?」
『んー………お肉食べたい。』
「うっし、任せとけ。」
『わーい!楽しみ〜!』
.
怪我の回復が思いの外順調で、2週間後には私の左腕にも自由が返ってきた。
悠仁くんはそれを見て喜んだ後、「学校まで迎えに行く口実がなくなった。」なんて唇を尖らせていたけど。
『口実無しじゃダメなの?』
「……なあ、それ本気で言ってんの?」
『え!何かまずいこと言った?!』
焦る私のは正反対に、悠仁くんは「はぁ……」なんて顔を抑えながらため息を吐いた後に「俺、心配だよ…。」なんて言う。
なんてのも束の間。
悠仁くんは「あ!」と言うとダッシュして部屋を飛び出すと、腕を後ろに隠して私の前までダッシュで戻ってきて急ブレーキをかけた。
『な、なに?』
「これ、開けてみて。」
差し出されたのは一つの紙袋だった。
戸惑いつつも、言われた通りに中を覗いた。
悠仁くんはそわそわして私の反応を待っている。
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美悠 - ちゃっぱさん» じゃあ洪水のように泣きますねw(え?)続編おめでとうございます!!! (2022年3月17日 20時) (レス) id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» 大丈夫です。その涙、受け止める覚悟は済んでます。地中海の底までサヨナラしたいですよねっ♡() (2022年3月17日 19時) (レス) @page50 id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - 読んでて泣きそう…どっちもいい子すぎる…とりあえず紗里ちゃんは沈めてきます…☆(野蛮) (2022年3月14日 23時) (レス) @page48 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» 優等生と思わせておいてからの、その見た目に反してってやつですよね…あぁ、好きぃ (2022年3月14日 1時) (レス) @page48 id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - ちゃっぱさん» 恵ちゃんは美形でクールですけど、実は元ヤンなところ凄くポイント高いんですよ笑 (2022年3月11日 21時) (レス) @page46 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2021年12月26日 0時