22話 ページ23
たまたまだった。
あれから任務に行った俺はその日もただ呪霊を祓うと
いう作業じみたことをしていた。
補助監督が全員出払って、仕方なく自分で任務から帰らないと行けない日だった。
「あー、だりぃ…」
いっそのこと、誰か迎えに来てくれるまでそこら辺で野宿でもしてみるか?
何考えてんだ、くだらねぇことに頭使ってどうすんだ。
妙にやる気が出ずに、近くにあった公園に流れるように入った俺は、夕焼けを背にドスンとブランコに腰を下ろした。
『え、』
「え?」
その瞬間に謎に聞こえてきた間抜けな声に顔を向ければ、隣には俺と同じようにブランコに座る同世代くらいの女がいた。
「何だよ。」
『…いや、別に。』
これが俺たちの出会いだった。
彼女の第一印象は、まあ……根暗、地味。
黒くて長い髪でまるで顔を隠すように視線を斜め下に向け続ける彼女に最初は不気味ささえも感じた。
つーか、誰だよ。
『……私のそばにいて、何ともないんですか。』
「は?」
『何も思わないんですか…?』
その質問の意味がわからず、ただポカーンと口を開けることしかできなかった俺だけど、ふと感じた嫌な気配に視線を彼女から逸らした。
一体、二体、三体………は?何体いんだよ。
全部雑魚呪霊、正直相手にもならない低級ばかりだけど、なんでなんともないこの土地にこんなにも……
『私がいるとみんな逃げて行くの…
私、みんなに不幸を与えるだけの存在だ、って…
私がいると空気が暗くなる…だから……』
あー、なるほど。
さっき言っていたのはそういうことか。
「"とんでもねぇ体質"だなお前。」
『そう、ですよね…あはは。』
「あーいや、そういう風に捉えてほしいわけじゃなくてよ。
……あー、こういう時何て言えばいいんだ…?!」
見た感じ、この女に呪霊は見えていない、要は無意識下で呪われてんだ。
ハッキリ言えばいいんだろうけど、何せ傑のことがあってからどうも言葉選びが慎重になっちまった。
『私なんて……いなければ…』
「おい、それ以上言うな。
そういうネガティブなとこが余計に引き寄せてんだよ。」
『へ…?』
"ある意味"俺と似てる。
そして対極にいるようなやつ。
そう感じたっていうのも多分大きい。
どうにもこの女をこのまま放ってはおけなかった。
そう、最初はただの同情だった。
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ちゃっぱ(プロフ) - きのこさん» ありがとうございます…!頑張ります!🔥 (2022年1月20日 20時) (レス) id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - 更新楽しみにしております。ファイトです。!(*'▽') (2022年1月20日 1時) (レス) @page44 id: 745e8e7bf1 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - れいなさん» この作品に関しては自分もよくわからなくなる時があるくらいなぜ構造が難しいんですよね…(え?)キスシーンドキドキしてくださいました…?!あのプルプルの唇にぜひ蝕まれた…(黙れ)私も大好きなので定期で狼化(?)させてますこれからもします。ありがとうございます^_^ (2022年1月14日 23時) (レス) id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
れいな - どの作品も奥が深くて「早く早く!続きどーなんの?!」ってドキドキしてます!一番ドキドキした所は、……キスシーンですよね?!あーゆー呪術キャラが狼になるシーンホントに大好きです!個人的に山本さん怖いですねぇ…。リアルにいそう…。更新頑張ってください! (2022年1月11日 15時) (レス) id: 26dbc1a5ab (このIDを非表示/違反報告)
れいな - れいなです!「雨の日に虎を拾った」の作品から来ました!ちゃっぱ様の作品がどれも素晴らしいです!個人的に呪術キャラがアタシ好みですしww五条先生の作品の中でトップレベルに好きな作品です!こんな素敵な作品達を作れるちゃっぱ様はどうなってるんですか?!ww (2022年1月11日 15時) (レス) id: 26dbc1a5ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2021年8月26日 18時