35話 ページ36
硝子とパンダは目を合わせると「本人に聞いた方が早ぇんじゃね?」と席を離脱した。
本人?誰のこと?
そんな私の疑問も、数分後に入ってきた人物を見て解消される。
それは実に3ヶ月ぶりに見る、長身で白髪の目隠し男だった。
『なんで、悟が……』
悟はしばらく私の方を見て立ち尽くした後に、ゆっくりとこちらに近づいてきた。
3ヶ月間、姿も顔も声も聞いてないわけだから無駄に緊張するけど、体が動かせない私はただ寝たまま横目で見るしかなかった。
「…。」
『……。』
お互いの沈黙が痛い。
なんで連絡してくれなかったの?
なんで家に来なくなったの?
あの女の人は誰?
今までどういうふうに過ごしてたの?
聞きたいことはたくさんあるのに言葉が出せない。
「テメェは能無しかよ。」
『………はい?』
第一声がそれ…?!
もっと他に言うことないの?!
流石の私だって頭に血が昇る。
『はぁ?!脳ならありますけど?!
そもそも3ヶ月も連絡寄越さないで、再会した一言目がそれ?!能無しはどっちだよ!』
「はぁ?!完全にテメェのためにあるような言葉だろうが!自分の怪我の状態も把握せずに敵地に飛び込むなんて馬鹿がすることだろ!」
『急に疼きだしたんですぅ!全然痛くないし!私に大量の任務を押し付けられたストレスじゃなぁい?!
あー!なんか腕が痛いなぁ。ストレスだわぁ!』
「俺の方見てストレスとかいい度胸してんじゃねぇか!よし今すぐ表出ろ!ボコボコにしてやんよ!」
『気遣いのかけらもないのかよ!!最低野郎だなクソが!』
ハア…ハア……
お互いの息切れだけが部屋に響いたあとにズキンズキンと背中の傷が痛くなる。
『いっ…!』と顔を歪めた私に悟が血相を変えて「おい、大丈夫か?!」と駆け寄ってくるからそれがおかしくて思わず爆笑してしまう。
「何笑ってんだよ。」
『いや……おかしいでしょ。あっはは!』
そんな私を見た悟もどうでもよくなったのか、不機嫌な顔をしたまま横に置いてあった椅子に勢いよく座った。
……いや、なんか雰囲気変だな。
『えいっ』
腕を最大限伸ばして悟の目隠しをずらせば、そこには目を潤ませた悟の目があった。
意表を突かれたんだろう、「やめろ…」と言うと目を手で隠した。
『心配、してくれてたんだ。』
「…ったりめぇだろ。大量に血流してるお前見た瞬間寿命縮まったかと思った。」
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ちゃっぱ(プロフ) - プスメラウィッチさん» 初めまして!コメントありがとうございます^_^ オチは作成当初から決めています!ネタバレになってしまうのでオチをここで言うことは出来ませんが、完結間近ですのでぜひ楽しみに待っていただけると嬉しいです( ; ; )ありがとうございます!!頑張ります!! (2021年6月23日 22時) (レス) id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年6月23日 19時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2021年5月3日 14時