32話 ページ33
『完全なる失恋だよなぁ……』
「スピード速すぎませんか。」
ぽやぽやする思考の中、七海が目の前で困ったようにグラスを持っているのはわかる。
それ以外はわかんない……もう何杯飲んだっけ。
今何時だっけ?ここどこだ?
『私ってほんと運が悪いよねぇ……何事においても上手くいったためひはなひ………ヒック!』
「呂律回ってないじゃないですか。もう飲まないでください。」
『もう一生孤独でいい!!!こんなにしんどいなら二度と恋なんてするかバーカ!!おぇぇ…』
「ちょ…あなた本当にこれ以上は…」
七海が何て言ってるのかわからないし、目の前にはおかわりした満杯のグラスがあるからそれを流し込む。
もうどうなってもいいよ。全部忘れたいの。
あの綺麗な顔が頭に浮かぶたびに辛くなる。
『おかしいなぁ……前まではあの顔を見て安心してたのにねぇ……潰したいなぁ…』
「それは同感です。」
『だぁよねぇぇ!!よし!行くぞ七海!
ぶっ飛ばせー!ご!じょ!う!!』
立ち上がった瞬間、足に力が入らなくてよろけるのころを七海に軽やかにキャッチされて「ではぶっ潰しついでにそのまま帰りましょう。」と担がれて気がつけば店の外にいた。
『はなしぇ………わたしゃまだ…飲むのぉ…』
「十分飲んだでしょう。これ以上は体に毒です。」
『いいよ……このまま悟がいないとこに飛んでいきたいもん……』
散々私に愛を押し付けておいて、いざ私がそれを返そうとすればプイッと背中を向けて消えてしまう。
……違うの。わかってるの。本当は
『私が……遅いのがいけなかったんだなぁ…』
「…。」
『そりゃ痺れ切らして飽きるのが普通だよねぇ……
全部私が悪いのに……なんでこんなに辛いの…。』
七海は私の住むアパート前に着いたタクシーから降りると同時に、私を横抱きにして中に消えて行く。
「鍵は?」と聞かれたから素直に出せば私をベッドに運んでくれてそのまま帰ろうとする。
だけど一度私を振り返った後、「Aさんが思っているほど、あの人の愛は軽くないと思いますよ。」とだけ言って帰った……ような気がした。
眠たかったせいで、次の日の朝には七海の言葉は記憶になかった。
『あれ……片付けなきゃね。』
寝室の部屋の隅にある写真と黄色い水栓をベッドから見ながら思う。
だけど立ち上がった瞬間、二日酔いをしてしまったのか私の体は床に転がった。
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ちゃっぱ(プロフ) - プスメラウィッチさん» 初めまして!コメントありがとうございます^_^ オチは作成当初から決めています!ネタバレになってしまうのでオチをここで言うことは出来ませんが、完結間近ですのでぜひ楽しみに待っていただけると嬉しいです( ; ; )ありがとうございます!!頑張ります!! (2021年6月23日 22時) (レス) id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年6月23日 19時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2021年5月3日 14時