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Aside
安田さん、丸ちゃんと別れた後、私は上機嫌で家に向かって歩き出した。
「Aちゃん！」
なんか丸ちゃんの声が聞こえた気がする。
そんな訳無いか。
さっき呼んでもらったのが脳内で再生されただけ。
推しに名前を呼んでもらうなんて…
明日死ぬかも…。
「Aちゃん！待って！」
すごい、言われてない事まで聞こえる。
私の妄想力我ながら凄いなー…
「Aちゃん！」
3回目に丸ちゃんの声が聞こえたと同時に私は誰かに肩を触られた。
振り向くとそこにはマスクを付けた丸ちゃんが立っていた。
…丸ちゃん…幻覚…？
「もう〜何回呼んでも反応してくれへんから〜(笑)」
丸ちゃんは大袈裟にため息をつく。
丸ちゃんが私を追いかけて…
いやいや、たまたま方向が同じだけだ。
自惚れるな。
「ま、丸山さんも同じ方向だったんですね！今日はありがとうございました！撮られると行けないので私は先に帰ります！」
心臓が持たないので一刻も早く丸ちゃんから離れたくて慌てながらもそう伝えた。
すると丸ちゃんは笑い出した。
「Aちゃんが撮られる心配なんかせんでええよ〜！(笑)それに、僕、Aちゃんを送ろうと思って付いてきてんから！」
…？
幻聴…？
今私を送る為って…
「Aちゃん、心の声漏れてるで！女の子1人でこんな夜遅くに危ないやろ？」
ｳﾞｯ…！
なんなんこの破壊力…
「それに確認したいことあったし。」
丸ちゃんはなぜかにやにやしていた。
「な、何ですか…」
「Aちゃん、エイターやろ。しかも僕の。」
丸ちゃんは自信ありげにきっぱりとそう聞いてきた。
「違いますよ！丸山さんのファンなんかじゃ…！」
「やっぱエイターの意味分かってる(笑) 僕らのファン名なんかエイター以外分からんのに(笑)」
しまった！！！
墓穴！
「私の友達がエイターなんですよ！」
「Aちゃんのカバンに着いてるそのストラップ、僕らのグッズやろ？(笑)」
丸ちゃんに指摘され慌ててカバンを確認する。
確かに私のカバンにはオレンジのエイトレンジャー スーツを着たキティちゃんのストラップが付いていた。
終わった…言い逃れできない…
なんで安田さんと会うのにこれ付けてたんだろう…
「よくそんなとこまで見てましたね…」
私は負けを確信し、エイターであることを認めた。
「やっぱり(笑) Aちゃんほんま面白いわ〜(笑)」
エイターであるとバレた以上、下手に話せない。
私は気持ち早歩きでこの場を離れようとした。
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作者名：昴 | 作成日時：2020年1月6日 13時
