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*




「俺はAちゃんを、一滴も取りこぼさないよ」




「うん」




「服の繊維まで愛したい」




及川くんの声は渇きに満ちている。




「泣いてるの?」




「またAちゃんをバイクの後ろに乗せたい」




彼の表情は見えない。




「及川くん、お願い、こっち見て」




わたしと及川くんの間を、冷たい風がすり抜けていく。




そして、どこかぎこちない笑顔を浮かべる及川くん。




「駄目だな俺は……本当に」




「わたし、及川くんがすき」




「そんなの、同じだ。俺もだよ」




「たとえ、世界が滅亡しても、わたしは次の世界できっと及川くんを見つけるとおもう」




「でも、Aちゃん、俺には無理なんだ」




「どうして?
わたしは残り少ない日数を及川くんと過ごしたいよ」




「違うんだ、俺には自信がない」




「それでもわたしは受け止めるよ、わたしが今まで及川くんと過ごした色濃い年月に代わりなんてないもの」




わたしは探り出すみたいに彼の指先を辿るけれど。





「本当にごめん」




離れていく彼の指先とか、こころとかを、わたしはどうにかしてつなぎ止めなければいけなかった。




「君の最後が本当に俺でいいのかわからない」




そう言って君はわたしを抱きしめる。




「ごめん、俺は、俺の人生かけて、純粋な気持ちで君を最後まで愛せる自信がない」




わたしを掬いとってくれなかったのは、これが初めてだった。





*

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青藍 - なんかもう…好き (2020年4月23日 9時) (レス) id: 2aeb894d27 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん(プロフ) - くるみさん» 確かにそんなイメージで読んでいただけると理解しやすいかもしれないです……!ありがとうございます! (2020年2月16日 0時) (レス) id: 678d2118ee (このIDを非表示/違反報告)
くるみ - なんか「5分後に意外な結末」っていう本みたいでめっちゃ感動しました。 (2020年2月8日 21時) (レス) id: 59eb781c8f (このIDを非表示/違反報告)
にんじん(プロフ) - ほのかさん» そんな…ありがとうございます (2020年2月7日 0時) (レス) id: 678d2118ee (このIDを非表示/違反報告)
ほのか(プロフ) - 頭が良すぎる (2020年2月5日 4時) (レス) id: 65422ec5d1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:にんじん | 作成日時:2020年2月2日 0時

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