第九十五話 有終の美は自分で ページ12
斑目の言う『妙技』
それは__
「な!? アイツ、自分自身を…!?」
「自分自身の、贋作?」
斑目は自分の分身を四体出現させた。技ですら、斑目の本性が現れている。贋作や複製はお手の物。
彼が絵画にどのような心構えで向き合ってきたかがよくわかった。斑目にとっての芸術はこれなんだ。否、芸術と呼べるものではない。本当に卑しい紛い物だ。
「(改心させて、斑目の持っていた芸術に対する思いを取り戻させてみせる)」
「倒すべきは中心にいるシャドウだ。お前ら、バトンタッチを繋げて一気に倒すぞ!」
モナは周囲に電撃を走らせているシャドウに弱点のガルをくらわせる。バトンタッチで次はパンサー。冷気が漂っているシャドウにアギを放つ。モナのおかげで流れが出来た。その後もフォックス、スカルとバトンタッチを繋げていき、残るは本体のシャドウだけだ。
「チェックメイトだ」
ジョーカーはシャドウに銃を構え、放った。
力を無くした斑目をフォックスは追い詰める。
それは道を踏み外した恩師を正しい道へと導く、弟子の姿でもあった。
「し、真の芸術など誰も望まんのだ…。欲しいのはわかりやすい『ブランド』だけ…!ワシだって被害者なんだよ…!」
「言い訳かよ…」
「美術界は所詮、カネの世界。カネ無しではノシ上がれない…。なあ祐介、お前なら分かるだろう?カネの無い画家は惨めだぞう…?」
祐介は斑目とは違う。芸術を心から愛している。
「もう戻りたくなかっただけなんだよぉ!」
「外道が芸術の世界を語るな。現実の自分に還ってこれまでの罪を告白しろ。全てだ!」
「こ、殺さんのか…?」
「約束しろ!!」
「ひぃ!わかった、わかったから……」
そうは答えるが、斑目はまだ挙動不審な様子を見せる。
何かを心配しているかのようだ。
「あ、あやつは来ないのか?あの黒い仮面の……」
「誰のことだ?」
「黒い仮面、えっ誰?」
「まさか、パレスにワガハイたち以外の侵入者がいたってのか…!?」
「え……」
詳しく考えていたいところだったが、そこでパレスの崩壊が始まった。
モルガナは車に変身し、怪盗団は急いで乗り込む。
最後はオタカラを持ったフォックスだけだ。
「なぁ、祐介。ワシはどうしたら、なぁ……」
「有終の美くらい、せめて自分の作品で飾れ」
さようなら、先生。
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すみれ(プロフ) - テイル@パピコ同盟さん» コメントありがとう〜〜!こちらこそ返信遅くてごめんね。更新頑張ります!これからもよろしくね! (2020年7月11日 16時) (レス) id: 28009c6402 (このIDを非表示/違反報告)
テイル@パピコ同盟(プロフ) - 続編おめでとう!最近話せてなくてごめん!頑張ってね!これからも応援するよ! (2020年7月11日 6時) (レス) id: f918ed1ff0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すみれ | 作成日時:2020年7月10日 21時