水槽に迷い込んだ貴女Ⅱ【Fischer's】【短編集】 (ページ41)

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『マーキング』マサイ×恋人ページ41

マサイside

なんで…、なんでだ……。

ザ「おぉ〜！めっちゃ俺の好み！」

『えへへ…！』

シ「おっ、随分切ったな！似合うじゃん！」

『ふふっ、ありがとうございます』

帰宅したAの変化に驚きつつも感嘆の声を上げるメンバー。それに彼女は嬉しそうに微笑む。

＿＿＿＿長かった髪をショートボブまでバッサリ切って、涼しくなった項に手を当てるAが俺の前にいる。

切って欲しくなかったとか似合ってないとかそんなんじゃない。ただの嫉妬だ。前も可愛かったのにいっそう可愛くなって帰ってきて、そんな笑顔を他のやつに見せて欲しくない。

『あ、マサイくん！ただいまっ』

俺を見るなりパタパタと駆け寄ってくる彼女はやっぱり俺だけのものにしておきたい。そんな思いで近づいた彼女をぎゅっと抱きしめる。

マ「おかえり。なんで急に？」

『ふふ、どうかな？結構思い切ったんだけど』

微妙に会話が噛み合ってないのもまた可愛い。俺の胸元にある顔が俺を見上げ、その瞳が俺の目を心ごと射抜く。

マ「似合ってるに決まってる。すげぇ可愛いよ」

『よかった！何にも言わないで切っちゃったから怒ってるかと思った』

マ「ん…その事じゃなく別のことに怒ってるかもな」

『へっ？私なんかしちゃった？』

シ「あっ、あー！俺たち急ぎの撮影あるんだったわー！悪いけど今日はこれで帰るわー！じゃあ、ごゆっくりー！」

俺の内心を悟ってか、シルクはわざとらしく語尾を伸ばして、メンバーを連れて部屋を出ていった。

これでもう邪魔者はいなくなった。

マ「なぁ、いい加減自分の可愛さ自覚してくんね？」

『なっ、何急に…！』

マ「あんな可愛い顔でみんなに笑顔振りまくなよ。妬くだろうが。しまいにはザカオに「俺の好み」なんてまで言われちゃって」

俺は抱きしめていた腕を解き壁際までAを追いやる。そのままぐっと距離を縮めて、片手を壁につき、もう片方の手で彼女の腰を引く。

マ「もしかして切ったのあいつらのためだった？」

『ちっ、違う！そんなわけないよ！』

マ「ならいいけど」

潤む彼女の瞳に吸い込まれるように、俺は彼女の唇に自分の唇を押し当てる。もう何度かキスなんてしてるのに、Aは恥ずかしそうに身をよじる。そんなの俺を煽る材料にしかならないのに。