水槽に迷い込んだ貴女Ⅱ【Fischer's】【短編集】 (ページ28)

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『9月3日(2)』モトキ×恋人ページ28

モトキside

ガチャリと鳩が帰っていき、その言葉だけが俺の耳で反響するように聞こえてくる。何度も何度も。

『……？モトキ、聞いてた？』

モ「…あ、聞いてた。うん、ちゃんと聞いてた」

呆然とする俺を見て小首を傾げるA。その姿はそれはそれは愛おしくて、今すぐ抱きしめたいという衝動に駆られるまま、その衝動に従ってキツく抱きしめた。

『ふ、ぇ……？モトキ、どした？』

モ「……嬉しい。ほんとにありがとね。1番に祝ってくれて」

『ふふw だってこうでもしないとファンの人にTwitterで先越されちゃうもん』

モ「可愛すぎか……！」

正直自分の誕生日なんて24、いやもう25か、そんな歳になってまでそこまで気にしていなかった。だから普通に忘れてたし、グミの日とか答えちゃうし。

『プレゼントもあるんだけど、持ってきていい？』

モ「まじで？いやでも……、今はこのままがいい。てかこれが最高のプレゼントなんだけど…」

俺の腕の中で苦しそうにもぞもぞするのもまた可愛い。やがてその白く華奢な腕も俺の背に回されて。

『じゃあ口頭でw なんとね、私が選ぶ最強のグミ10選』

モ「嬉しいけどさぁ…w 結局グミかw」

『しかもモトキの好きなのばっかだよ？こりゃモトキ太っちゃうなw』

Aが俺の隣にいてくれるなら、俺は太ったって痩せたっていいよ。

モ「俺太ってもなにしてもいいからAとずっと一緒にいたい……」

『……プロポーズ？』

モ「や、プロポーズはちゃんとした時に言う。今のはプロポーズの前のプロポーズ(？)」

『どーゆー意味だw』

さっきの俺の言葉に照れたのか、Aの耳が少し赤い気がする。彼女の体温も温かくて心地良い。

モ「Aさん」

『何ですかモトキさん』

モ「愛してます」

『……！わ、私もです！』

モ「照れすぎじゃない？w」

『そんなことないもん！！』

モ「……俺今この世で1番幸福な男だ」

『これからも2人で＿＿＿＿＿＿

＿＿＿＿＿＿幸せになろうね』