水槽に迷い込んだ貴女Ⅱ【Fischer's】【短編集】 (ページ8)

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『冬の幻』モトキ×恋人ページ8

モトキside

(死ネタというのでしょうか、少々含まれますので苦手な方はお控えください！それほどどぎつくはないと思います…！)

『モトキ、綺麗だよ。みて！』

そう言ってAは白くなった窓の外を眺めて微笑んでいた。それを残しておきたくて撮った写真は今も部屋に飾ってある。大好きだった笑顔で笑っている。

＿＿＿11月の夜明け前、彼女は天国へ旅立った。

あの子は泣き虫で怖がりだから、早く見つけてあげなくちゃ……。

……なんて、どこにもいるはずないのに…、冬の香りがしたんだ。

まるで子供のように、

『寒い……！』

ってはしゃぎながら、寒さに弱い俺に後ろから抱きついて、

『でもこれだとあったかいねっ』

ってシャツの中に手を入れたりして喜ぶから。俺は冬が好きだったのに。

＿＿＿粉雪、止まないでよ。手のひらで静かに消えないで。あの儚すぎる命と重なってしまうから……。

モ「A……っ、A……！」

＿＿＿震えた声とかじかんだ手で、ずっと探し続ける。それでも見つからなかった。苦しくて苦しくて、夜も眠れなかった。

モ「ねぇ、逢いたいよ……、逢いたい…」

＿＿＿逢いたい気持ちが抑えられない。夢にもたれて、静かに泣いて、ずっと探し続けてるから。

モ「もし神様がいるなら…、奇跡が起こるなら……っ！」

＿＿＿俺の願いが、もし一つだけ叶うなら。

モ「もう一度、Aに逢わせて……！幻でも何でもいいから……っ！」

＿＿＿せめて夢でいい、お願いだから逢わせて。きっと冷たくなってしまっただろうその身体を、そっと、温めてあげたい。

それでも少しずつ、一歩ずつ、歩いてみるよ。

モ「絶対に忘れないから。もう泣かないから。俺の心の中では、いつまでもAが一緒にいてくれるから……」

『もー、ずっと一緒にいるんだから、心配しないでよ？私はずっと、貴方だけを愛してる』

天国のAがそう言ってくれてる気がした。外の白い景色に、彼女の姿を写して。

モ「俺も、Aだけを愛してる」

＿＿＿＿あの日の笑顔のまま。

--------ｷﾘﾄﾘ線--------

冬の幻/Acid Black Cherry

少し悲しいお話になってしまいましたかね……？

上記の曲をモチーフにして書きました。本当に原曲を聞いてみてほしい曲です！

気になった方は是非聞いてください!!(願望)

それでは次回をお楽しみに！