水槽に迷い込んだ貴女Ⅱ【Fischer's】【短編集】 (ページ36)

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『癒して、愛してる』マサイ×恋人ページ36

Aside

“疲れた”

彼がそう言う時は本当に疲労が溜まってる時。肉体的にも精神的にも疲れている時にしか言わない言葉。

多少の疲れなら我慢できる、と言って溜め込んで無理してしまうのを、私が1番近くで見ていて知っているから。

それは凄い頑張り屋さんだと思うけど、それ以上にいつか身体を壊してしまうんじゃないかと心配だ。

それに、私は少し怒っている。マサイも頑張りすぎだし、シルクなんて睡眠時間が2時間を下回ることもあるらしい。本人達が体調を崩してしまったら元も子もないのに。

マ「疲れた…。癒して…？」

『無理しすぎだよ、昼夜逆転した生活してるでしょ』

マ「みんな頑張ってんだから、俺だって力になりたいじゃん？」

私を正面から抱きしめて、私の髪を指で軽く弄ぶマサイ。そう言った顔は微笑んでいたが、疲れが隠しきれていない。

マ「時々さ、俺何もできてねぇんじゃないかなって思っちゃう時あるんだよね。メンバーそれぞれがやることやってんのに、俺はみんなの為に何ができてんのかなって」

髪を弄んでいた手を止め、マサイは私の肩に顔を埋めた。耳元で聞こえるその声は微かに震えている。

マ「……シルクみたいに自分の芯が強くて真っ直ぐで、やると言ったら最後までやり切る。俺もそんな奴になれたらいいのにな」

「俺なんていいとこ無しじゃん」と薄く笑って言ったマサイは、私を抱く力を強めた。

『私、マサイの良い所いっぱい知ってるよ？』

マ「……例えば？」

例えなんて幾らだって挙げられる。

メンバーの事を大事に思ってる所。

リスナーさんへの対応が神対応すぎる所。

かっこいいのに変顔とかガチでやる所。

私の事を大切にしてくれる所。

キスが優しい所。

マ「最後のヤツ恥ずかしいんだけど……」

私が幾つも挙げればマサイは照れたように言う。私はまた続ける。

『あとね、軍団愛が1番強い所』

マ「……そうかな」

『だってさ？毎年メンバーみんなに誕プレあげたりとか、あ、アマゾンから帰って来た3人にもいっぱいプレゼント用意してたりとか』

マ「軍団愛強いって言われるのも嬉しいけど、俺Aへの愛の方が強いと思うんだけどなぁ」

『私の事愛してくれてるのもちゃんとわかってるよ笑』

マサイは嬉しそうに笑って腕を解いた。優しく私の髪を撫でつけ、

マ「やっぱAは俺の癒しだわ」

2人の唇が優しく触れ合った。