水槽に迷い込んだ貴女Ⅱ【Fischer's】【短編集】 (ページ15)

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『珍しく(2)』シルク×恋人ページ15

Aside

それから私はシルクに体温計を渡して熱を測ってもらうと、出たのは“38.1℃”。タオルを濡らしてきて、シルクが寝転がる近くに座った。

『……ほんとに脱がすの…？』

シ「Aが自分で言ったんだろ……w」

『うぅ……』

シルクのTシャツに手をかけて、あまり身体を直視しないように気をつけながら脱がせた。

シ「どうせ体拭く時に見るだろ……」

『いいの！シルクは黙って言う通りにして…！』

濡れたタオルを額、頬、首、胸あたりやお腹、背中も拭いて、最後に腕も拭いた。

『脚はこのまま拭くね』

シルクはいつも通り今日も短パンだから、両足とも順番に拭いていった。

そしてクローゼットから別のTシャツを持ってきてシルクに着せた。タオルは片付けて、代わりにシルクの天敵である“冷えピタ”を持ってくる。

シ「…お前正気か……？俺病人なの、嫌いなものやだ……」

『いや、病人だから貼らせるんでしょ。我慢して？』

シ「……分かった」

今日は物分かりがいいなぁと思っていた。が、すぐに次に彼の口から紡がれた言葉に驚かされることになった。

シ「…冷えピタ我慢するから、Aはずっと俺の傍にいて、手繋いでて……？それだけでいいから……」

あぁもう、どうしてこの人(シルク)はこういう時に限って私をドキドキさせるようなことを言うんだろう。

＿＿＿＿でも、私がこんな状態の彼を放っておくわけがないこと、シルクもわかってるでしょ？

『ばか、何言ってんの。当たり前だよ』

私は言って、彼に優しくキスを落とした。

シ「…俺、風邪引いてよかったかも」

『馬鹿言わないの』

私は冷えピタのフィルムを剥がして、今にも悲鳴をあげそうなシルクのおでこに貼っつけた。

『我慢して、ね？』

シ「…頑張る」

シルクに掛け布団をかけ、シルクの手をぎゅっと繋ぐ。

しばらくして、シルクは帰宅した時よりだいぶ顔色が良くなった。

だけど、「編集しなきゃいけないの忘れてた…」とか「今夜撮影あるんだった…」とか言ってるのを私は聞き逃さなかったから、

『今夜の撮影は参加禁止！編集なら私がやっとくから』

シ「……え、A編集できんの？」

『ずっとシルクの隣で見てたもん。いつか手伝えるようになりたかったし』

私がシルクを説得しようとそう言うと、彼は顔を赤らめて背けた。

シ「…お前……、今はそれ反則……！//」

私にとっては貴方のその表情も反則だよ。

いっぱいぎゅってしたいよ、シルク。早く治してね。