水槽に迷い込んだ貴女Ⅱ【Fischer's】【短編集】 (ページ2)

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『届かないけど』シルク×教師ページ2

Aside

シ「今日の予定は……」

3年E組の私の担任の先生はとてもかっこいい。イケメンではないけど、かっこいい。

体育教師でバスケ部顧問。女子人気も高い。

シ「Aさーん、聞いてるか？」

『へ？あ、はい、聞いてます！』

シ「絶対ボーっとしてたろw ちゃんと聞いとけよ？」

『はい…』

生徒のことは男女問わず名前呼び。おかげで毎日私の心臓は破裂しそうだ。

＿＿＿好き、なんです。はい。

私が先生のことを好きになったきっかけは、2年の冬。

部活内は結構荒れてて問題だらけ、いじめられてたわけじゃないけどクラスでも精神的に辛かった。

その2つが重なって、金曜日、私は学校を休んだ。

心配性な母は、担任のシルク先生にわざわざ電話して、泣きそうになりながら相談したらしい。

翌日、私はシルク先生と母と3人で、三者面談をやらされることになった。

その日の午後には球技大会が控えていて、先生は担当になってたはずなのに。忙しかったはずなのに。

私の話を聞くために時間を作ってくれた。

シ「いじめがあるわけじゃないんだよな？」

『はい…。でも、周りの人がもう信じられなくなっちゃって……』

シ「いつも一緒にいる友達も？」

『本当は裏で何か言われてるんじゃないかって、勝手に想像したら、もう……』

シ「Aは部活でもクラスでもいつも一生懸命だもんな、疲れるよな、そりゃ。部長なんでしょ？」

『まぁ、一応…。でも私なんかには務まらないと思いますけど…』

シ「Aは十分頑張ってるよ。一番近くで見てる先生がちゃんと知ってる」

『……優しいですね、先生は』

シ「部活は顧問じゃないから見ててあげられないけど、クラスでもし何かあったら先生が守るから。いつでも頼って？」

『…先生のことは、信じてもいいよね……？』

シ「おう、大丈夫だ！ぶっちゃけ、俺もお前のことめっちゃ頼りにしてるからw」

『ふふっ、ありがとうございます』

シ「このあとの球技大会来るだろ？」

『い、いや、行かないつもり……だったんだけど、準備とか手伝います』

シ「ほんと？そりゃ助かる！」

『お母さんは先に帰ってて。このまま私学校残るから』

お母さんは本当に嬉しそうな顔をしてた。先生に深々と頭を下げて、先生が少し困ってた笑

今じゃ私と先生はすごく仲良くなって。

『せんせ！今日もかっこいいね！』

シ「はいはい、チャイム鳴るぞ！」

『はーい！』

＿＿届かないのはわかってるけど、好きだよ、せんせ。