水槽に迷い込んだ貴女【Fischer's】【短編集】

『俺もだけど(2)』モトキ×友達 ページ6

Aside


モ「俺、Aに嫌な思いさせてたかな…。そしたら謝る。本当にごめん。」

『狡いよ、いつもモトキはそうやって……。思わせぶりなことばっかりして、私に期待ばっかりさせてさぁ……っ』

今までに心の中に押し込んでいた言葉が、感情に任せて溢れ出す。

『私はモトキのこと好きなのに、モトキは私の事なんとも思ってくれないし、ただの都合のいい人みたいで……、それなのに期待させるようなことしないでよ…！』

モ「ごめん……、でも、聞い＿＿」

『＿＿＿好きなの、ずっと前から。』

モトキから少し距離を取って、それでも顔を見られないように隠しながら、私は続ける。

『……私、モトキの笑顔が好きだった。だから、笑ってよ。バカだって、お前のこと好きになるわけないだろって笑ってよ……』

モ「……うん、Aはバカだよ、本当に」

フッと、モトキが笑う音が聞こえた。心の中で、笑わないでよ、と呟いて目から一筋の涙が流れる。




モ『好きなのは、俺もなんだけどな』




＿＿＿一瞬、時が止まったような気がした。

『…どういうこと……？』

頭の整理ができない。

理解が追いつかない。

今、モトキはなんて言った？

モ「俺も、ずっと前からAのこと好きだったよ。気づいてほしくてここかよったりしてたんだけど……、逆効果だったねw」

『うそだぁ……っ！』

モ「Aは俺のこと、こんな嘘つく最低だと思ってるってこと？w」

『違…っ』

モ「俺が急に来た時はAに会いたかった時だし、さっき泊まろうかなって言ったのも少しでもAに意識してほしかったから」

気づけば正面から抱きしめられていて、優しい声音の彼に止まらない涙を拭われている。

モ『俺が最初からちゃんと言わなかったのがいけなかった。本当にごめんね』

私はブンブンと首を横に振る。モトキは「聞いて？」と目を合わせて、




モ「ずっと前から好きです。俺と付き合ってください」




もちろん、答えは決まってる。



『…はいっ！』

＿＿＿結局彼の方が一枚上手だと、そう思った。

『シスコンと塩な妹』ぺけたん×兄妹→←『俺もだけど』モトキ×友達

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