20 ページ20
ジェシーくんと日に数回、今度はちゃんと会話が続くメッセージのやり取りをしている。最早日課とも言えるかもしれない。空き時間にしか返せないのはお互い様だから半日以上返信が空くことも珍しくない。
「おはようございます」
「おはようございます、なんか久しぶりだね」
「そうですね。私はレギュラーじゃないので」
久しぶりに袖を通した制服のスカート、ウエストが若干緩く感じる嬉しさを感じながら挨拶回り。
「あの高地くんにも伝えたいことがあって、」
「なに？もしかしてジェシーのこと？」
「ジェシーくんのことじゃなくて…実は私今日が最後なんです」
「え？最後？卒業ってこと？」
「そうなんです」
元々不定期の出演だったから卒業と言うにはおこがましいかもしれないけど、今日でこの衣装を着るのは最後だ。
「えー、寂しくなるね」
「そう言ってもらえて嬉しいです。本心かはわかりませんけど」
「本当に思ってるって！でもそっか、Aさんも最近忙しそうだもんね」
「高地くんたちには負けますけどね」
舞台やドラマ、声をかけてもらえたお仕事はほとんどやっている。私が芸能人になってからの１番の仕事量だと思う。
「ジェシーとも仲良くなってくれてありがとね。最近のジェシーマジで絶好調なんだよ」
「そう、なんですか？」
「Aさんとご飯行ったんだ！ってその日のうちに自慢してきたからね。それからずっと好調よ」
「あー…そうですよね、高地くんには筒抜けな感じだろうとは思ってましたが」
何度断っても誘ってくれるから申し訳なくて１度だけ、と思ってオシャレな和食のお店に一緒に行った。私の好みを知ってくれていたのか、個室でゆっくりジェシーくんの話す高地くんたちの話を沢山聞いた。
「ジェシーも良い奴だよ？」
「…痛いくらいわかってますよ」
「あれ？思ってた反応と違うね」
「高地くんって笑顔が素敵な悪魔って言われません？」
「あひゃひゃっ、Aさんも言うようになったね。これもまたジェシーの影響かな？」
ニコニコ笑う高地くんはたまに油断ならない。高地くんだけじゃない、京本さんもそうだ。わかりやすそうで何を考えているかわからないところが２人は似ている。
「残念ながら高地くんが望む回答はしませんよ」
「えー？そうなの？」
「とにかく、短い間でしたがお世話になりました」
「こちらこそ。また共演出来る日を楽しみにしてるよ」
「そうですね…また、どこかで」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 410人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：いか | 作成日時：2023年9月23日 19時
