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それでも、ワタルは本当に俺が眠る時、俺の手を握って頭を撫でてくれていた。
「大丈夫だよ」と何度も繰り返しながら。
俺は久しぶりに深い眠りに落ちた。それでも、ずっと繋がれた右手に温かさを感じていた。
「起きた？」
「ん…今、何時…」
朝、目を覚ますと俺の枕元に寝る前と同じ体勢のワタルが居た。
「もうすぐ8時になる」
「やば、寝過ぎたっ…」
慌てて飛び起きて俺は着替えを済ませた。打ち合わせの時間は8時半で、今から家を出ればギリギリ間に合うかもしれない。
「太輔、ちゃんと食べないと体に悪い」
「でも、支度してる時間も食べてる時間もないんんだよ」
俺の心を見透かしたようなワタルの言葉。
「大丈夫だから、少しでも食べて。朝食なら作ってあるから」
「大丈夫って、何を根拠に…」
ワタルの有無を言わさない瞳に俺は仕方なくダイニングテーブルの前に座った。
「美味しそう……いただきます」
俺はワタルが作ってくれたと言うフレンチトーストとサラダを食べ始めた。完全に遅刻だと思いながらも、大丈夫だと言ったワタルを信じてみようと思った。ワタルが作ってくれたフレンチトーストは優しい甘さでホッとした。
「ごちそうさま…」
俺が食べ終わったのは、打ち合わせ時間の10分前。もう、どう足掻いても間に合わない、完全に遅刻の時間。
「じゃあ、行こうか」
「え、ワタルっ…！？」
そう言ってワタルが俺の腕を引いて向かったのは屋上。
「ちょっ、俺は仕事に行かなきゃ…なんで屋上なんだよ！」
「しっかり掴まってろよ」
「えっ、うわぁっ！？」
「じっとしてて、流石に危ないから」
ワタルに抱き上げられたかと思うと俺は空を飛んでいた。正確には飛んでいるのはワタルで、俺は抱きかかえられたまま、落ちないようにしがみついているだけだ。
「太輔、景色見てみなよ。こんな景色、もう二度と見られないよ？」
ワタルに言われて固く閉じていた瞼を開けた。
「すごい…」
鳥になったような気がした。
「ほら、着いたよ」
あっという間に目的地に着いた事にも、ワタルが空を飛べる事にも、色々と驚いたけれど、初めて感じた空を飛ぶ感覚に自然と頬の筋肉が弛むのを感じた。
「大丈夫だったろ？」
時計を見ると時間ちょうど。ワタルの言葉に俺は静かに頷いて、打ち合わせのある部屋へと足を進めた。
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琥珀 - はい！！絶対に読みます！！ってゆうか、読んでます(笑) (2015年5月6日 23時) (
レス) id: 81fa3df666 (このIDを非表示/違反報告)
ナツ(プロフ) - 琥珀さん» コメント、ありがとうございます！楽しみにしてくださって、本当に嬉しいです。頑張りますので、引き続き読んでくださったら嬉しいです！ (2015年5月6日 15時) (レス) id: 169b65b4ce (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 頑張ってください！！続き、楽しみにしてます！！ (2015年5月6日 14時) (レス) id: 652e9fb3ab (このIDを非表示/違反報告)
ナツ(プロフ) - 海樹さん» 此方にもコメントありがとうございます！凄く励みになります。ゆっくりになるとは思いますが、更新頑張りますので、これからも読んでいただけたら嬉しいです^ ^ (2015年4月18日 19時) (レス) id: 169b65b4ce (このIDを非表示/違反報告)
海樹(プロフ) - 少ししか読んでないのに、文章がスーと頭に入ってきて自然とイメージを膨らませてくれました！ 文章がとても綺麗で、芯がありながらも優しい雰囲気を感じました☆ 更新楽しみにしています(*^^*) (2015年4月18日 19時) (レス) id: 8dd0998254 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナツ | 作成日時：2015年4月18日 13時
